2013年10月
【水曜】 インフルエンザあれこれ
インフルエンザの流行は古くから知られています。江戸時代の相撲界で、史上最強といわれた大関・谷風も現役バリバリの連勝中に、インフルエンザと考えられるはやり風邪で亡くなりました。最も有名なのは大正時代の「スペイン風邪」で、世界的に流行し3,000万人以上の人が亡くなったと言われています。
4年前(2009年)に、神戸で新型インフルエンザの患者が見つかり大騒ぎになったことを覚えていますか。アメリカなどで流行の兆しがあった、「ブタインフルエンザ」の患者が神戸で発見されたのです。当時、その患者は隔離され、診察した診療所は一時閉鎖されたと聞きました。本当に大騒ぎになったのです。しかし結局のところ、皆様がご存じのように、新型インフルエンザはアッと言う間に日本全国に蔓延し、患者を隔離したり診療所を閉鎖したりする意味がなくなったのです。幸い、新型インフルエンザは強い毒性を持たなかったため、大きな犠牲者を出さずに済みました。
これらのことから、二つの教訓を得ることができます。
一つは、インフルエンザは一旦流行すると、食い止めることが非常に難しいということです。神戸の騒動がそれを証明しています。一人患者が出た時には、もうすでに多くの感染者がいるということです。患者の隔離はインフルエンザの場合には効果が薄いようです。
もう一つの教訓は、人類が初めて出あうインフルエンザは大変怖いということです。スペイン風邪は突然変異でできた、全く新しいインフルエンザ・ウイルスが原因で人類が初めて遭遇しました。このため、免疫のない人類は多くの犠牲者を出したのです。いま話題になっている鳥インフルエンザが突然変異し、ヒトからヒトへという感染力を持つと多くの犠牲者が出ると想像されています。
しかし、私たち人類も手をこまねいているわけではありません。私達にはワクチンという強力な武器があります。毎年流行する季節性インフルエンザも、今後みられるかもしれない新型インフルエンザも、ワクチンで封じ込めることができるはずです。
皆様にインフルエンザワクチンの重要性を知っていただきたいと思います。