2013年11月
【水曜】 マイコプラズマ肺炎の話
マイコプラズマは、通常の細菌とウイルスの中間の大きさのため、特別な呼び名で呼ばれています。
マイコプラズマに感染した大半の方は、感冒症状や気管支炎症状までで治りますが、5%位の方が肺炎にいたります。小児や学童ならびに若年成人など若い方々を中心にかかります。
感染経路はやはり咳によるしぶきです。咳をする方は必ずマスクをして下さい。マイコプラズマ肺炎の特徴は頑固な咳です。咳のため夜も眠れません。痰は比較的少ないのが一般の肺炎と違うところです。もちろん熱は出ます。肺炎としては比較的軽くすむ場合が多いのですが、まれに呼吸不全や「多臓器不全」と呼ばれる重症になってしまう場合もあります。
咳や熱が3日以上続くときは、必ず医療機関で診てもらって下さい。血液検査や胸のエックス線検査を受けて下さい。
血液検査のうち、白血球の数は、通常の肺炎と違って1万を超える事はありません。炎症反応の目安であるCRPの値は、通常の肺炎と同じくらいに高く出ます。マイコプラズマ抗体を血液で測る方法もありますが、数日掛かってしまうので、多くは迅速に判断できません。
胸のエックス線写真でも特徴があります。刷りガラスのように見える場所と、雲のように濃い場所などが混ざって写ったり、炎症の場所があちこちに散らばったりします。
以上のように、比較的若い世代の方が頑固な咳をされ、白血球の数が1万以下で、胸のエックス線写真で特徴的な影を認めた時に、マイコプラズマ肺炎と診断します。
治療に用いる抗生剤は、通常の肺炎とは大分異なります。マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系と呼ばれる系統の薬剤を服用します。10年位前まではマクロライド系が特効薬的によく効いていたのですが、頻繁に使われ過ぎて、近頃は小児を中心に他の細菌に対する薬が効きにくくなっています。小児の方はやはり専門医に診てもらいましょう。ほとんどの方が外来治療すなわち飲み薬で治ります。