2013年12月
【金土日】くも膜下出血の話
くも膜下出血は、発症すると30%が死亡する突然死の代表的な病気です。また30%は後遺障害に苦しむことになり、社会復帰を果たせるのは残りの40%だけと報告されています。年間1万人に1~2人がくも膜下出血を発症、40歳以上の方で、やや女性に多く発症する傾向にあります。
くも膜下出血の原因の90%近くは、脳動脈にできたこぶである、「脳動脈瘤(りゅう)」の破裂によるものです。脳動脈瘤があることですぐに体調変化や症状が現れることはないので、頭の中に発生していることに気付かずにいる方が多くいます。100人に1~2人は破れていない脳動脈瘤を持っているのですが、高血圧・喫煙・家族歴などの危険因子がある場合に、高い確率でくも膜下出血を発症すると考えられています。
前兆として気をつけたいことは、1~3週間前の激しい頭痛、物が二重に見える、瞳孔が開いてまぶしい、まぶたが下がるなどの症状が認められることですが、前兆がない場合がほとんどです。
典型的な場合には、「ハンマーで殴られたような」「雷が落ちたような」と表現されるような、今まで経験したことのない頭痛が、後頭部から首にかけて突然発症することが多くあります。また多くの場合、血圧上昇、吐き気、嘔吐を伴います。しかし、「風邪をひいたかな?」という程度の頭痛のこともありますから、注意が必要です。
病院でのくも膜下出血の診断方法は、まずCT検査を行います。さらに脳動脈瘤の位置や状態の診断は、MRI検査・脳血管造影検査などを行います。その後の治療は、頭部を切り開いて動脈瘤の根元をはさんで血流を止める外科手術(クリップ手術)や、血管の中から細い管を動脈瘤の中まで入れて、動脈瘤を金属製のコイルで埋めてしまう手術(コイル塞栓(そくせん)術)があります。
コイルを使った手術は、患者さんの体への負担を格段に減少させました。それぞれの病態に適した手術方法がありますので、医師のアドバイスにしたがって最適な手術方法を選択することをおすすめします。
いずれにしても、くも膜下出血は発症してしまうと何らかの後遺障が残ることが多いので、先に述べた高血圧・喫煙・家族歴などの危険因子の高い方は、発症してからではなく、年齢の節目などにMRI検査などを受けて、自分の脳と脳の血管の状態を把握しておくことが、最良の予防法になると思われます。