2013年12月
【木曜】 冬の感染性胃腸炎の話
秋から冬には、インフルエンザの予防接種が患者さんたちの話題となりました。
しかしその陰で、受診する患者さんの中には、腹痛、下痢、おう吐の症状が増えてきます。ひどい日には、朝から皆が申し合せたかのように、同じような症状で来院されることがあります。
この原因は、ほぼウイルスによって引き起こされます。
原因ウイルスは、「エンテロウイルス」や「RSウイルス」など色々なものがありますが、その原因ウイルスを突き詰めて確認する(同定する)ことは、かなり困難であることが多いです。
なかでも、有名な「ノロウイルス」に関しては、検査による原因ウイルスの確認を希望して受診される方も多くおられます。しかしこの検査は医療保険が使えるための制限があります。
医師は、患者さんを前にして、急性期の症状や下痢・嘔吐に対応するようにしています。まず、脱水の兆候が強く出ている場合には、点滴による補液を行います。また、脱水症状が軽くても吐き気が強い方には点滴を、さらに、少しでも吐き気が出ないようにする食事法を指導しています。
吐き気が出ないようにする食事法は、少量ずつを数回に分けて摂ることです。ですから1回の食事量は一口程度でも良いと、患者さんには話しています。
飲み薬による治療では、吐き気止め(制吐剤)やおなかの調子を整える薬(整腸剤)の処方が主体です。状況によっては、強く効く下痢止め(止瀉剤)の処方を行い、症状が改善するに従って徐々に減量するように指導しています。また漢方薬も、吐き気を止め下痢も治めてくれる種類があるので処方しますが、難点として、少し飲みにくい苦さがあります。
冬の季節は、しばらく消化器症状が強く出るウイルス性胃腸炎が流行ってきますが、それが治まればインフルエンザの季節になります。
私たちは、年中感染症に曝されていますから、自分自身の免疫力を保つように、規則正しい生活と偏りのない食事に心がけましょう。