2014年1月
【金土日】ジェネリック医薬品(後発品)の話
医療費の増加を抑えるため、ジェネリック医薬品の利用をすすめる政策がとられて10年以上が経過しました。
2012年10月に、ある大学の薬学部にも協力いただいた地区薬剤師会の調査で、630人の市民のうち「ジェネリック医薬品を知っている」と回答した人が9割で、そのうちの5割は「実際に服用した」と答えていました。同じ時期に、兵庫県薬剤師会が行った調査では、ジェネリック医薬品を調剤した数量が3割となり、国の目標値に達していました。
やはり同じ時期に、開業医の団体である兵庫県保険医協会の尼崎支部が行った調査では、ジェネリック医薬品の効き目について、4割を超える医師が「疑問がある」と答えており、これは他の医療関係者への調査結果でも同様の傾向でした。
薬の効き目や副作用が同等で、安い価格であるはずのジェネリック医薬品で、どうしてそのようにことが起きるのでしようか。
先発品メーカーは、新しい薬の開発に10年以上の歳月と多額の費用をかけて、患者さんに使用してみる試験、つまり治験と呼ばれるものを行っています。これを「先発品」と呼んでいます。一方、後発品であるジェネリック医薬品は、すでに市販後のデータが十分に集められた薬剤なので、有効成分の規格や安定性、そして健康な人が服用した血液中の薬物濃度を測って、同等であるかどうかを検査してから商品としています。つまり開発研究などを簡略化して、コストを低く抑えることができるのです。
しかし、先発品の薬は、有効成分以外にも薬の作り方の工夫に特許があるため、ジェネリック医薬品は全く同じ薬が作れるわけではありません。先発品とジェネリック医薬品では、薬の効き始める時間や持続時間、塗り薬の使用感の違いなどがあります。一方では、先発品の製薬会社がジェネリック医薬品部門を持っていることから、先発品を越える品質の薬もみられるようになっています。
ジェネリック医薬品について、医薬品の第三者機関での評価があれば、医療関係者も安心して使えるという声は、以前からあがっています。もっともなことでしょう。
ジェネリック医薬品に処方が変更された場合は、処方した医師も調剤した薬剤師も、しっかりと経過を観察して、患者さんが何でも気軽に相談できる関係を作ること、そして、ジェネリック医薬品を賢く使用することで、患者負担を減らすことや医療費の急激な増加を抑えることができるのではないでしょうか。