2014年2月
【火曜】 歯科の応急処置
虫歯が痛むときの応急処置は、一部の市販薬を虫歯に詰め込むなどの方法があります。歯痛止め、いわゆる鎮痛剤は一時しのぎとしては有効でしょう。
しかし、痛みのある虫歯は、その場所が分かりにくいだけではなく、そもそも痛みの原因が虫歯の神経の痛みなのか、それ以外の歯の中にある神経組織が腐ったために起きた痛みなのかが、一般的には判断がむずかしいです。誤ると痛みがとれるどころか、顔まで腫れるような状況になることも考えられます。
以前、顔が腫れ始めて、顎や顔に湿布薬を貼り付けてさらに悪化させ、受診する患者さんがいました。バイ菌が入り膿んだ場合、湿布薬に膿が引き寄せられ皮膚に集まってきます。その患者さんには、口の中を切開して事なきを得ましたが、顎の下まで膿が回るところでした。応急処置としては、まず冷やすことが大事だったのです。
ニンニクや梅干しを詰める民間療法がありますが、いずれも効果のほどは疑問です。
義歯が痛いからと、患者さん自身で義歯を削ってしまうことや、義歯などが割れた時や被せものがとれた時、一般の接着剤で着けたりするのも厳禁です。バランスが崩れてしまい、噛み合わせを狂わせてしまうからです。
市販の接着剤はほとんどが吸水性ですから、再び壊れたり外れたりします。そのあと歯科医院に来られても、接着剤が義歯の材質を変えてしまって、修理できないこともあります。
顔面のケガで歯が抜けた場合や、大きく欠けてしまった場合にはあきらめることなく、抜けた歯の乾燥を防ぐために、牛乳や歯の保存液などに浸けてすぐに歯科医院に行けば、元に戻すことも可能です。
その他、歯に詰めたものなどを誤って飲み込んでしまった場合は、およそ24時間で便として排出されるものですが、もし大きなものの場合や、咳き込んだり異物感がとれない場合は、呼吸器科や消化器科、耳鼻科などを受診してください。
このように、歯科の応急処置は様々な状況が考えられます。一時的に症状は消えても、病状は進行し続けていることがあります。またその病状に対する、応急処置の診断と処置を適切にするために、まずは歯科医院を受診するようにしましょう。