2014年3月
【金土日】クスリのリスク―市販薬を安全に―
これまで、副作用のリスクが少ないビタミン剤などの第3類医薬品は、インターネットでも販売されていましたが、最高裁判決(2012年1月)の結果、薬剤師による情報提供の必要な市販薬もインターネット販売することができるようになりました。へき地に住む方々や薬局が近くにない方、忙しくて薬局に来られない方には、とても便利になります。他人の目が気になる妊娠検査薬、育毛剤なども買いやすくなります。
ただ、具体的なインターネット販売のルールがきちんと整っていないため、不安なこともあります。インターネット販売会社の中には、医薬品販売の許可を取らずに、期限切れの医薬品を安売りするような悪質な事件も起こりました。また、胃がんの症状に気づかず自己判断で市販の医薬品を服用して、治療の開始が遅れたケースもあります。
薬剤師は、患者さんとの会話を通して、健康状態によっては医療機関への受診を早目に勧めたり、たびたび頭痛薬を服用される人には「薬の使い過ぎによる頭痛」もあることをお話して、時には医薬品を販売しないという選択をすることもあります。
このように、インターネットによる医薬品の購入においては、患者さん自身がメールや電話、テレビ電話などで薬剤師に相談したり、情報を手に入れて自己管理することが大切です。医薬品は病気を治し、健康な生活を助けるものです。正しく服用しないと、むしろ害になります。
医薬品のリスク、つまり副作用を患者さん自身がきちんと理解して、正しく医薬品のインターネット販売を利用され、症状によっては早めに医療機関を受診することをお勧めします。
最後に、兵庫県保険医協会には薬剤師を会員とする薬科部があります。臨床や医薬品についての研究会を開き、医師、歯科医師と交流して、スムーズな連携ができるようにしています。医師も歯科医師も薬剤師も、患者さんとの対面による相談を気軽に受けられる存在でありたいと思っています。