2014年3月
【火曜】 口内炎(アフタ)について
口内炎は、口の中や舌の粘膜に起きる炎症の総称のことで、一般的に口内炎と言えば「アフタ」のことを言います。アフタとは、病名ではなく口の中の状態を表すもので、真ん中が白くて周りが赤い、小さなただれのことです。
アフタは、通常1週間から10日で自然に治癒するものですが、アフタが繰り返し出てくる場合は「再発性アフタ」と呼ばれています。再発の原因は不明で、再発までの期間も個人により異なります。女性にやや多く、思春期以降に増加する傾向にありますが、高齢者ではあまり見られません。
アフタの原因として、偏食などによる鉄分やビタミンの不足、ストレスや睡眠不足の他に、歯科分野では、噛み合わせの悪さによる噛み傷、歯ブラシなどによる粘膜への物理的刺激、唾液の不足、口腔内の乾燥や不衛生が挙げられます。しかしその発症のメカニズムは現在のところ正確には分かっていません。
そのまま経過を見ていても問題はありませんが、アフタは接触のたびに痛みが出るため、この症状を和らげることが必要です。
治療薬には、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)入りの軟膏(ケナログやアフタゾロン)、貼り薬(アフタッチ)、噴霧薬(サルコート)があります。軟膏や貼り薬はアフタの部分を物理的刺激から保護する意味もあります。なおステロイド剤を使用する場合は、ウイルス性疾患との鑑別が重要になります。また歯科では、レーザー光を用いてアフタの部分を焼く方法もありますが、これは医療保険が使えません。
口内炎は炎症の一種なので、歯のブラッシングやデンタルリンスで口をすすぐことで口の中を清潔にすれば、ある程度は症状の改善を見込めます。そこで、うがい薬などでうがいをするといった民間療法も効果があります。
ただし、全身的疾患に起因するものは専門家による治療が第一です。例えばベーチェット病は、口腔粘膜の再発性アフタ以外に、目や皮膚や外陰部に、4つの病的変化が出る全身疾患です。この病気は、口腔内のアフタが初めに出る症状の場合が多いのですが、他のアフタ性口内炎と見分けることは困難ですから、他の場所の症状の現れを見てから診断するしかありません。
何かあれば、かかりつけの医師や歯科医師に相談してください。