2014年3月
【月曜】 おねしょ(夜尿症)と子どもの自立
おねしょが小学校入学以後も続く場合を、治療が必要な状態ということで「夜尿症」と呼んでいます。この場合に、何かの病気が必ずあるというわけではありません。ごくまれに、原因になる基礎の病気が認められることもありますので、毎日続く場合は、医療機関を受診されるほうがよいでしょう。
夜尿症の場合、医療機関で行う一般的な治療として、次の3つがあります。
1つ目は、水分や塩分の摂取量、摂取時間帯の指導、排尿訓練、規則正しい生活リズムの確立、冷え対策など、食事や生活の指導です。
2つ目は、夜間の尿量を少なくするお薬(抗利尿ホルモン、抗コリン剤、3環形抗不安薬など) を使う薬物療法です。
3つ目は、「尿アラーム」に代表される行動療法があります。また、催眠による暗示も有効な場合があります。
夜尿症に対して従来は「あせらず、怒らず、起こさず」の方針と言われてきました。ただし、はっきりした根拠があるわけではなく、ご両親に対する配慮の言葉がけかもしれません。受診の時にご両親から、「本人が学校行事などで不安がっている」と言われますが、多くの場合、本人の精神的負担というよりは、親御さんの方が、「学校行事で子どもが恥をかかないか、いじめられないか」などの不安を感じて相談に来られていることが多いようです。つまり、他の子どもとの比較、他人の目や世間体などを気にしているなど、親御さん自身の価値観や、本当の気持ちに気づいていないことも多いように思います。
おむつが取れるということは、ある意味で本人の自立、すなわち巣離れ、親離れの一つの意味もあります。あまり親が心配し過ぎることは、本人の自立を阻むことになるかもしれません。子どもにとって、自分の困りごとは、自分で考えて何とかする、そしてできたという経験が将来、きっと本人の大きな自信にもなりますと、小児科専門医はお話しています。
これは親鳥が、ひな鳥の巣立ちについてかまい過ぎず、ハラハラしながらも暖かく見守り、最終的にはうまく巣立ちできるようになるものと同じではないでしょうか。
おねしょを治すことばかりに注意を向けず、親子関係も含めた自分自身を見直すことや、おねしょは子どもの自立の一過程であり、うまくサポートすることを考えてみることが大切でしょう。