2014年4月
【水曜】 便秘の方へのアドバイス
「いつもお腹が張っている」「一日に2~3回排便はあるがスッキリしない」「肛門まで便が降りて来るのに、肛門の所で蓋をされたようで出ない」「洗浄便座のお湯を長く肛門に当てないと排便しにくい」というように、排便の訴えには色々なパターンがあります。
まず、赤ちゃんの便秘です。ミルクに対するアレルギーが原因で便が固くなるお子さんがいます。小児科の医師とよく相談をして下さい。一方、生まれつき大腸の神経組織に異常がある「先天性巨大結腸症」という病気があります。極めて頑固な便秘があり、お腹に便による大きな塊を触れることで見つかるものです。これは小児外科での治療が必要です。
次に、学生時代に多い便秘は、不規則な食生活、極端な野菜嫌い、学業へのストレスなどによるものです。社会人になっても同じように、スッキリした排便がないと悩んでいる人が多くみられます。
市販の下剤を飲めば、初めの頃は良く効きますが、徐々に下剤の量が増えてきます。そのうちいくら下剤を飲んでも反応しなくなります。これは刺激の強い下剤を飲み過ぎて腸管が痙攣を起こしている悪循環の状態です。
こうなる前に、生活習慣の見直しや食生活の改善をして、消化器内科の医師に相談の上で、下剤の種類を考えてもらうことをすすめます。自己判断することは危険です。大人の場合で便が出にくいのは、がんによって腸管が狭くなり通過障害を起こしている可能性があります。
検診では「便潜血反応検査」が行われています。この結果が陰性だからと言って、必ずしも「がんになっていない」とは言えません。大腸がんがある人でも、便潜血反応が陽性に出る人の割合は3%以下です。やはり大腸内視鏡検査を受けるべきです。
大腸全体を検査する場合は、あらかじめ大量の水分と下剤を飲んで、腸管をきれいにする必要があります。一方、この検査を受けるのが辛い方は、肛門から50センチぐらいまでを観察する「S状結腸カメラ」と呼ばれるものを受けてください。この場合は、検査当日の直前に大きめの浣腸をするだけです。
大腸の病気の50~60%はS状結腸や直腸に出来ます。まずこの場所だけでも検査をすることは十分意義があります。
中高年の方の便秘は、まず致命的な病気である大腸がんがないことを確認してから、各種の下剤を処方してもらって下さい。
便秘でお悩みの方は、小児科や消化器内科の医師のアドバイスを受けながら、快適な排便生活をお送りください。