2014年5月
【金土日】爪に入った水虫
水虫は、カビの一種である「白癬菌(はくせんきん)」が原因で起こります。
「白癬菌」はケラチンと呼ばれるタンパク質が大好物で、ケラチンを多く含む皮膚の角層や爪などに入り込みます。白癬菌は、皮膚や爪を溶かす酵素を持っているので、足の水虫を長年放置していると、この白癬菌が足から爪に入り込んでいくことが多くみられます。この爪に入った水虫を「爪白癬(つめはくせん)」といいます。
爪そのものには痒みなどの自覚症状はありませんが、爪が白く濁ったり、爪がぼろぼろ崩れたり、爪が切れないほど分厚く変形したりします。この爪白癬をそのまま放置すると、白癬菌が爪から再び足にうつったり、バスマットやスリッパに落ちた皮膚や爪の一部が他人の皮膚に付いて、家族や周囲の人にうつすことがよくあります。
爪白癬の診断は、少し爪をピンセットで取り、顕微鏡で調べることで比較的簡単に行えます。
爪白癬の治療は、塗り薬だけでは爪の奥にまで薬の効果が届きにくく、あまり治療効果が期待できません。しかし最近では、白癬菌を取り除く働きをもつ新しい飲み薬が登場し、爪の内側から治していくことができるようになりました。この飲み薬による治療でほぼ完治します。飲み薬を服用する場合は、医療機関で定期的に血液検査を行い、肝機能に異常がないことを確認しながら治療をすすめていきます。
現在、この飲み薬は2種類あります。
1つは、「パルス療法」と呼ばれる方法で、まず1日2回1週間だけ薬を服用して、次の3週間は薬を飲まず、この方法を3カ月間繰り返す方法です。この場合の費用の目安は合計3万円程度となります。2つ目は、薬を毎日1錠だけ飲む方法です。期間は6カ月位は必要で、この場合の費用の目安は合計2万円程度です。
どちらの薬を選ぶかは、他に飲んでいる薬との飲み合わせも考える必要があります。いずれにせよ、治療を始めてから完全に足の爪がきれいに生え替わるには1年あまりかかりますので、根気よく治療を続けていくことが大切です。
「もしかして爪白癬?」と思ったら、すぐに皮膚科専門医を受診して、治療を開始しましょう。