2014年5月
【水曜】 足にこむら返りが起こったら
「こむら返り」とは、筋肉の一時的なけいれんと定義できます。よく言う「足がつる」という現象です。「こむら」とは、ふくらはぎ(脹脛)のことで、ふくらはぎがひっくり返るほど痛い、という意味で、この名があります。
ふくらはぎに最もよく起こりますが、脛(すね)や太もも(大腿)の前や後ろにも起こります。これらを全て含めて、こむら返りと呼んでいます。一時的な痙攣ですから、10分以上も続く時はこむら返りではありません。
こむら返りには、運動時型と安静時型の2つのタイプがあります。
運動時型は、陸上競技やマラソン、水泳中など、運動している時に起こるものです。激しい緊張状態や、筋肉が極度に疲れきっていることが原因で、筋肉中の乳酸が作用していると考えられます。水泳中にこむらがえりが起こると、溺れてしまうこともあるので注意が必要です。
安静時型は、運動をしていない時や、眠っている時に起こるものです。高齢者に多く、明け方によく起こります。身体を無意識にコントロールしている自律神経が関与していると考えられます。
たびたび起こる場合は、筋肉、すじ、神経、背骨のいずれかに異常が生じたと考えられます。ビタミン、ミネラルなどが不足した時も起こりやすいと言われています。
こむら返りが起こったら、次のように処置してください。
まず、膝を伸ばし足先を手で持ってください。そして、足の甲がむこうずねに近づく方向、つまりアキレス腱を伸ばす方向に、足首を曲げてください。このとき筋肉は痙攣していて、足首は自由にならないので、手を使って引き起こしてやる必要があります。こうして、ふくらはぎを伸ばしてやることが、最も大切な応急処置になります。そのまま足先を引っ張っておくと、2~3分で痙攣はおさまります。一旦おさまったら、痙攣した筋肉のまわりをマッサージしましょう。水泳中にこむら返りが起こっても、片足で立ち泳ぎをしながら、慌てないでこの処置をしてください。
治療では、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬をよく使います。痙攣を急速に抑える効果があります。
こむら返りとよく似た疾患に「肉離れ」があります。肉離れは走っている時などに起こった怪我です。これは一日以上痛みが続きますから、こむら返りとの区別は容易です。
たびたびこむら返りが起こる人は、早目にかかりつけの医師にご相談ください。