兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2014年6月

【木曜】 認知症を抱える家族へ

 最近は認知症に関する各種の情報が増え、認知症は身近なものと思われるようになってきました。それでも、いざそれが自分の身内に起こると家族の戸惑いは少なくありません。認知症を抱える家族の方の多くは、経過とともに4つの心理的な段階をたどると言われます。

 まず第1段階として、認知症の異常な言動や行動に戸惑い、認知症を否定したくなります。この時期は家族としての心配を他人に打ち明けることができず、やむなく家庭の中だけで悩んでしまいがちです。

 次いで第2段階に入ると、認知症の生活上の問題に対してどのように対処して良いかわからず、混乱してついには怒りの気持ちも湧いてくるようになります。認知症に対する理解が不十分なため、往々にして不適当な対応をとってしまい、しだいに本人と家族の間がとげとげしくなり、関係性がより悪化するといった悪循環にはまりがちです。家族としても身体的、精神的に疲れ果ててしまって、つらい時期です。認知症に対する正しい知識を取り入れて、医療や介護のサービスを利用することが勧められます。

 そして第3段階になると、認知症の問題を割り切ってとらえられるようになり、同じ認知症の症状であっても、客観的に見ることでそれに伴う問題は軽減していきます。

 さらに第4段階になれば、認知症に対する理解がさらに深まり、認知症の心理状態を将来の自分自身にもあてはめることができるようになって、あるがままの姿を受け入れられるようになります。

 認知症はなかなか先の見えない生活が続きます。認知症について学ぶことは認知症を介護していく上で大きな力になります。しかし家族だけで認知症を抱えていこうとすると、いずれどこかに歪が生じかねません。気負いは禁物です。

 認知症には本人の自尊心を傷つけないような余裕を持った対応が必要です。そのためには家族もひと息つくことが不可欠です。医療や介護の専門家の手を借りて、ゆったり楽しく一緒に暮らしていく時間を作っていきましょう。

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