兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2014年6月

【火曜】 診療報酬改定で何が変わったのか②

 先月お話したように入院医療では、①高度な治療ができるところの病床数を9万も減らす、②難病や重度肢体不自由者等への入院医療が確保できる仕組みの廃止、③短期間の入院で手術や検査を行う完全包括の技術を増やすなどが実施されます。

 そのため、「治っていなくても退院を迫られる」「重症のままでも、看護の手厚くない病床や通院医療・在宅医療に追い込まれる」など、地域医療の現場に新たな矛盾を生むことにもなりかねません。

 医科の通院医療では、「主治医機能」を持った中小病院や診療所の医師が、生活習慣病や認知症を持つ患者の診察に、「地域包括診療料」「地域包括診療加算」というものが新設されました。

 これは「継続的かつ全人的な医療を行う」評価として、ほぼ1 医療機関の一人の主治医が、診察や服薬管理、健診、介護保険、在宅医療を24時間体制で行うなどのハードルを設けています。治療内容に関わらず一括した診療報酬になるために、患者の受診先を妨げる危険性もあります。

 在宅医療では、本来、患者さん毎に総合的な在宅療養計画を考えて、必要な在宅医療を提供していくことが大切です。しかし、同一の建物に住んでいるかどうか、同日に複数の人の訪問診療をしたかどうかによって、「在宅時医学総合管理料」が引き下げられました。高齢者の施設に住む人に十分な医療が提供できる診療報酬にならないため、「看護師さん3人分の減収になる」というある医療機関の試算もあり、抜本的な対策が強く求められます。

 歯科医療は、長年にわたる医療費の抑制政策や、受診抑制・治療中断によって、「子どもの口腔崩壊」など社会問題に発展していました。

 今回の改定では、生活の質に配慮した歯科医療の充実や、最新の治療技術の一部の保険適応、口腔機能を医療機関同士で連携して管理することの評価など、現場の声が一定反映されました。しかし、入れ歯の治療や在宅医療などは、抜本的に改善されませんでした。

 このように、2014年の診療報酬改定は、安上がりな医療・介護の供給体制作りをめざした「地域完結型」へ転換しながら、医療費の抑制をさらにすすめようとしています。

 「いつでも、どこでも、誰でも」という日本の医療水準を引き上げるよう、全国の保険医協会は引き続き運動していきます。

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