2014年7月
【木曜】 アレルギー性鼻炎の免疫療法
花粉症などアレルギー性鼻炎の治療法には、内服や点鼻薬などの薬物療法やレーザー照射などがあります。いずれの治療法も対症療法、つまり症状をコントロールする方法です。
根本的に治療する可能性のある方法は、現在、免疫反応を抑える免疫療法、つまり体質を改善する方法しかありません。以前は「減感作療法」と呼ばれていました。
これまで免疫療法は、治療用エキスを注射する方法でしたが、今年から、スギ花粉症に対してエキスを舌の裏に含ませて、粘膜を通して体内に吸収させる舌下療法が追加されました。
免疫療法を始めるには、まずアレルギーの原因となるもの、つまり「抗原」と呼ばれるものを特定する必要があります。すべての抗原に治療用エキスがあるわけではなく、注射用ではスギ、アカマツ、ブタクサ、ほうれん草花粉症、ハウスダスト、カビです。一方、舌下療法はスギ花粉のみです。
注射療法は、1週間に1回から2回のペースで、薄い濃度から次第に濃度を上げながら注射します。効果のあるレベルまで来ると、間隔を延ばしながら約2年間続けます。
舌下療法は、初回は院内で行いますが、それ以降はスケジュールに従って毎日自宅で行い、2週間毎に受診していただきます。しかし、スギ花粉の飛んでいない時期にも毎日行うことが必要ですから、根気のいる治療であることは変わりません。
免疫療法の注意すべき点は、第1に、注射療法でも舌下療法でも、治療期間が長期にわたり定期的な通院が必要であることです。注射療法では効果のあるレベルに達したら1カ月毎に注射を行い、舌下療法では通院は2週間から1カ月に一度ですが、毎日自宅で行う必要があります。第2に、治療開始前に免疫療法の効果が出るかどうかが分からないことです。2年間の治療で60~70%の方は効果を実感していただけますが、残念ながら30%の方は効果を示さないことがあります。第3は、注射療法の場合、患者さんの体調により喘息発作やじんま疹の症状、まれにアナフィラキシーショックと言われる、強いアレルギー反応が起こることがあります。それに対して、舌下療法は注射療法に比べて副反応の出現する確率を低下させることができ、より安全な治療と言えます。
詳しくは専門医にご相談ください。