2014年7月
【火曜】 歯周病はいつから?
歯周病は、歯ぐきに起こる炎症がひどくなった病気で、日本人の成人の80%がかかっている病気です。初期段階の歯ぐきの炎症(歯肉炎)は、中学生の40%がかかっているという調査もあります。
歯周病は細菌によって起こる感染症です。口の中には身体を防御するために300~400種類もの細菌がいますが、歯周病の原因になっている菌は、ほんの10種類程度です。
それでは、人間はいつ頃から歯周病菌に感染するのでしょうか?
口の中では、歯が生えた1歳くらいですでに細菌に感染しています。そして驚くことに、1~15歳の子どもの2人に1人は、「スピロヘータ」と呼ばれる、強力な歯周病菌に感染しているという報告もあります。ただし、口の中にいるから必ず歯周病にかかるというものでもありません。
歯周病菌は口の中で細菌バイオフィルムという幕をつくり、歯の根元などに付着して病的な状態になります。このバイオフィルムの中で、悪玉菌である歯周病菌の活動が優勢になる時期が、歯周病の進行している時期といえます。
歯周病の実態は、歯周病菌に対して起こる本人側の反応なので、患者さんの反応も歯周病の進行に大きく影響するのです。つまり、歯周病になりやすいかどうかという、本人自体の環境にも影響されるということです。
歯周病にかかりやすいかどうかは、先天的なものと後天的なものがあります。それぞれがリスク要因として捉えられています。
先天的なものは、本人側の、細菌を食べてくれる細胞の反応の違いです。後天的なものは、タバコ、糖尿病、ストレス、各種薬剤の長期使用等が指摘されています。
さらに、歯周病は「慢性歯周炎」「侵襲性歯周炎」「遺伝疾患に伴う歯周炎」という、3つのタイプに分けられます。
多くの歯周病患者は、35歳以降に発症する「慢性歯周炎」に属しています。
10~30歳代で急速に進行する「侵襲性歯周炎」といわれる状態を示す人の特徴は、プラーク(歯垢)の付着が少ないことや、家族内で歯周病が現れていることです。つまり、家族の中で、若いときから歯周病にかかっていた人がいる場合は、自分も同様な症状を起こしやすいということがいえるでしょう。
歯周病の管理のために、かかりつけの歯科医院に定期受診することをおすすめします。