兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2014年8月

【水曜】 動悸の話

 動悸がすると訴えて病院を訪れる患者さんは、様々な動悸を単に「動悸」としか表現しません。しかし、内科医はその原因を診断するために、速い動悸か、遅い動悸か、抜ける動悸かなどの情報を得ようとします。

 規則正しい1分間100以下の動悸は、緊張して自分の心拍を感じていることが多いです。静かな夜間などに心臓に意識を集中すれば、自分の鼓動を自覚することの経験はありませんか?そして、よく思い出してみると、あまり速くない規則正しい動悸だったのではないでしょうか?

 同世代の人が最近心臓病になったと耳にすれば、自分もそうではないかと心配して、正常の拍動を動悸と感じることが多いです。これを医学的には解釈モデルといい、それを患者さん自身に自覚してもらうことが治療の第一歩です。

 患者さんは、不整脈から突然死しないかと心配して来院されますが、突然死の危険度は動悸がない人と同じくらいですから心配ありません。

 ただ、そのような心配をしているにもかかわらず喫煙していれば、不整脈で突然死する可能性より、喫煙による心血管疾患の危険性の方が桁違いに高いということを自覚する必要があります。周りの人の受け身喫煙の危険性もあります

 それ以外では動悸の原因は多くは不整脈です。

 不整脈は、規則正しく拍動している心拍が不規則になる疾患の総称であり、確定された診断名ではありません。規則正しい心拍のなかに、時々脈が飛ぶことを感じている可能性が高いです。簡単な検査で、元々心臓病がないことが確認できれば心配ありません。

 突然の動悸で、一拍一拍が不規則なら心房細動です。

 元巨人軍の長島茂雄氏は、一時的な心房細動から脳梗塞になりました。

 心房細動は、年齢や他の疾患があるかないかで抗凝固療法が必要となります。また、規則正しく、とても速い動悸であれば「発作性心房性頻拍症」の可能性が高く、これは心臓の電気焼灼手術で治ることも期待でき、かかりつけの医師や循環器専門医に相談すべき疾患です。

 病歴は診断の一番のよりどころです。病歴を十分に取らないで、「安静時の心電図やホルター検査に異常がないので放置してもよい」ということではありませんから、ご注意ください。

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