2014年8月
【月曜】 白目が赤い~充血と出血~
白目が赤くなる病気には、充血と出血の2種類があります。
充血は、結膜炎や急性緑内障などの炎症によって毛細血管が拡張するものです。出血は、結膜の下の血管が破れて起こります。
今回は、「結膜下出血」を中心にお話します。
結膜下出血は、白目の部分の結膜と強膜の間にある細い血管から出血が起こり、それがべっとりと広がるために白目が急に真っ赤になって、びっくりされることでしょう。
この病気自体は、ひにち薬で改善しますから、健康な方であれば通常は真っ白に戻ります。
糖尿病の方では、網膜症による眼底出血を結膜下出血と勘違いされる方も多いです。しかし、糖尿病性網膜症は自覚症状が乏しいのですが、白目が赤くなることは稀です。
結膜下出血の原因は、不明の場合が多いですが、眼球の打撲や薬の作用によって起こることもあります。例えば高齢者では、血栓の予防のために血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合に起こることもあります。若い方では、眼の痒みやゴロゴロした感じなどの不快感から、無理にこすってしまって出血を起こすことがあります。稀な例として、白血病や高血圧などの内臓の病気と関連が見られる場合もあります。
結膜の充血と出血は、混在して起こることもありますから、少しでも気になることがあれば、念のために眼科を受診するようにしましょう。また、結膜下出血と、眼底出血や脳出血には特に因果関係は認めませんが、不安があれば検査することをおすすめします。
さらに、結膜下出血は白目が真っ赤になること以外に、自覚症状に乏しい病気です。緑内障という病気も自覚症状に乏しい目の病気です。日本人では、40歳以上で20人に1人、70歳以上では10人に1人がかかる病気だと言われています。これは、日本の緑内障診療のレベルの高さを誇る、「多治見スタディ」と呼ばれる大規模な調査結果によるものです。緑内障が予想以上に多いことに、眼科医もびっくりしています。
本当に怖い病気は症状に乏しいことがありますから、勇気を出して眼科を受診するようにしましょう。