2014年10月
【木曜】 いびきは病気? 睡眠時無呼吸症候群との関係
一般にいびきは、鼻、のどなどの空気の通り道が狭く、息を吸うときに努力する、即ち無理やり空気を肺へ押し込もうとする時に、のどから出る音です。
息をする努力をしている限り、肺に空気は届きますが、息を強く吸えば吸うほど、のどは更に狭くなり、いびきの音は大きくなります。最後には窒息状態になります。これが「睡眠時無呼吸」です。
無呼吸の後に目が覚めて、苦しい呼吸から脱して、狭くなったのどを広げ、大きく大きく息を吸って呼吸を再開します。この際に大量の空気がのどや肺へなだれ込み、大きないびきの音が発生します。これが、「呼吸再開のいびき」と呼ばれる睡眠時無呼吸症候群の典型的ないびきです。
睡眠は身体のコンディションに関係します。
たとえば、深酒をしたり、眠くなるような薬を飲んだり、疲れが影響して、いびきをかく方はいるでしょう。しかし飲んでも飲まなくても、疲れていてもいなくてもつねにいびきをかく方や、いびきといびきの間に息が止まってしまう方は要注意です。寝ている間もいびきをかいて、息を吸うための努力をすること自体が異常と言えます。
息が止まらなくても、また検査で無呼吸があまりなくても、狭い空気の通り道(気道)でいびきをかいて努力するために睡眠が浅くなり、日中に眠くなる人もいます。
いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療の目標は、努力せずに夜間呼吸をすることです。
いびきは、それが無呼吸を伴っても伴わなくても、日中の眠気を誘い、心臓や血管への負担となります。そのために「いびきは早死にの元」と言われるのです。
検査には、1晩入院して無呼吸の頻度や努力の状態を測定するものや、無呼吸の発生回数のみを自宅で調べるものなどがあります。
治療には、①夜間に鼻からマスクを介して、空気に圧を加えてのどを拡げるCPAP (シーパップ) 治療、②夜間に装着してのどを拡げるマウスピース、③手術療法の3つがあり、単独または組み合わせて治療します。それぞれに長所と短所があり、検査結果と年齢や生活環境などを考慮して、治療方法を選択します。
人生の三分の一は睡眠ですから、一人で悩まず、かかりつけの医師を受診し相談してください。