2014年11月
【金土日】暖房器具による低温やけど
冬になって気をつけないといけないのは、湯たんぽやアンカ、あるいはポケットカイロやファンヒーターなどの、暖房器具によって起こる低温やけどです。
皮膚は、表面の「表皮」、その下にある「真皮」、さらにその奥にある「皮下組織」から成り立っていますが、低温やけどでも皮下組織にまで至る重症のやけどになる場合があります。
通常、やけどは温度の高さと時間の長さによって、その重症度が決まります。例えば100度くらいの温度によるやけどでも、皮膚に触れた時間が短かければ、やけどは皮膚の浅いところにとどまって重症にはなりません。逆に、50度くらいの低い温度でも、皮膚に触れていた時間が長ければ、真皮や、時には皮下組織まで侵されて重症になってしまいます。
湯たんぽやアンカは、寝ている間に使用することが多く、同じ場所に長い時間あたっていることになり、見た目よりは重症になってしまいます。朝に目覚めた時に、水ぶくれができており、医療機関を訪れた時には、すでにかさぶたになっているケースがほとんどです。
低温やけどに対する治療は、高い温度によるやけどと同じです。
まず、やけどに気がついた時には、流れる水で10分から20分ほど冷やしてください。そのうえで医療機関を訪れてください。アロエなどの市販されている付け薬を使用することは、かえって傷をひどくすることもありますので止めてください。低温やけどは深い皮膚まで侵されることが多いので、治療には抗生物質の飲み薬と付け薬が必要です。
傷が真皮の深いところや皮下組織にまで達している場合には、いわゆる「皮膚潰瘍」になっているので、より慎重な治療が必要な場合もあります。やけどの跡のケロイドの治療が必要となる場合もあります。
一般のやけどは、1カ月ぐらいでだいたい治癒しますが、低温やけどはそれ以上、場合によっては半年以上かかることもあるので、根気よく治療してください。