2014年12月
【月曜】 ドライアイについて
人間の体の60%以上は水分でできています。加齢や食生活の変化、ストレス、エアコンやファンヒーター、パソコン・スマートフォンなどの長時間の使用、コンタクトレンズなど、様々な原因によって体の水分は不足することがあります。
そのひとつの症状として、眼に「ドライアイ」が発症します。ドライアイの患者は約2200万人と言われています。
ドライアイの症状は、「目の刺激感」としてゴロゴロする・痛い・乾くなどの症状や、「目の見にくさ」としてかすむ・まぶしい・見えにくいなどの症状があります。
目の表面は、結膜と呼ばれる白目の表面の粘膜と、角膜と呼ばれる黒目が、涙によって滑らかに潤されています。ドライアイでは粘膜が弱り、黒目の表面を潤している涙の層に凸凹(デコボコ)が出来て見えづらくなったり、まばたきでこすれて痛くなったりします。
治療の方法は、生活環境の改善、点眼治療、手術治療の3つがあります。
第1の生活環境の改善は、加湿器を使用すること、テレビなどを見る時は視線が上を向かないように設置すること、エアコンややファンヒーターの風を顔に直接当てないこと、コンタクトレンズを適正に使用すること、長時間パソコンやスマートフォンを見続けないこと等に注意しましょう。必要があれば乾燥を抑える保護眼鏡を使用しましょう。
第2の点眼治療は、以前から人工の涙や保水性のあるヒアルロン酸の点眼が行われていますが、最近はムチンを増やす治療も行われています。ムチンは粘膜表面に存在し、粘膜を潤して粘膜の損傷を防いでいます。このムチンを増やす点眼薬が開発され、治療に使えるようになりました。これによりドライアイ治療の幅は増え、今後期待されています。
第3の手術治療は、以上のような点眼治療でも症状が改善されない場合に行います。涙の出口は、目頭の上下に涙点(るいてん)と呼ばれる孔(あな)が開いており、ここから鼻の奥・喉の奥に流れていきます。この涙点にプラグを差し込んだり、涙点を外科的に閉鎖したりして、涙が目の表面から流れ出ないように手術をします。また、結膜の表面にある粘膜が緩むことで涙の貯留が悪くなっている場合は、この緩んだ結膜を切除することもあります。
ドライアイはよくある病気ですが、慢性の病気で、原因も様々な要因が関係しています。症状の辛い時は、是非お近くの眼科専門医にご相談ください。
※この原稿は11月・月曜の再放送になります。