2015年1月
【金土日】パーキンソン病の最近の話題
パーキンソン病は、手足が勝手に震えたり、こわばったり、姿勢のバランスが悪くなるなど、身体の運動機能の障害を主体とする脳神経障害の病気です。病状の経過とともに、便秘や立ちくらみなどの自律神経機能の障害や、気分が滅入るなどの精神機能の障害なども見られることが知られています。
60歳代で発症することが多く、日本では人口10万人当たり100人を超える患者さんがいると考えられ、今後の高齢者の増加に伴い、さらに患者数の増加が見込まれます。
この病気は、1817年にイギリスのジェームス・パーキンソン医師によってはじめて報告されました。その後、いろいろと研究がすすめられて、脳内のドパミンという物質が不足していることが分かり、1960年代からドパミンを補充する治療が始められるようになりました。
最近では、いろいろな仕組みでドパミンが関係する神経系に活力を与える薬が開発されて、現在9種類の異なる種類の治療薬が使われるようになりました。そのなかには、1日に1回の服用で効果がある薬や、貼るタイプの薬、自己注射の薬などもあり、それぞれの特徴を生かして個々の患者さんの状態に応じた治療が行われるようになっています。また、薬が効きにくい人や薬の副作用が強い人には、脳に電極を差し込んで電気刺激をして症状を改善する「脳深部刺激療法」と呼ばれる治療が行われることもあります。
パーキンソン病の診断は、特徴的な症状の組み合わせをみて判断します。血液検査やMRI・CT等の画像検査などでは、この病気に特異的な所見はありませんが、これらの検査はパーキンソン症状によく似た他の病気がないことを確認するために行われます。
パーキンソン病の診断が難しい一部の患者さんには、これまで、ドパミンを試験的に補充して、その効果を見て判断することが行われていました。今は、脳内のドパミンの動きを調べる検査や心臓の自律神経系の機能を通じて、パーキンソン病の可能性を判定する検査などができるようになり、より正確な診断がなされるようになりました。
今後もパーキンソン病を根本から完全に治せるよう、さらに研究・開発が行われることが期待されます。
心配なことがあれば、かかりつけの医師や専門医にご相談ください。