2015年1月
【月曜】 子宮頸がんの予防ワクチン
子宮頸がんは、ウイルスが原因で子宮の入り口付近にできるがんです。このがんは、その原因から発生するまでの流れがほぼ解明され、予防までが可能になった唯一のがんと言えます。1983年に子宮頸部のがん組織から「ヒトパピローマウイルス」と呼ばれるウイルスが明らかにされ、以後の研究の結果、子宮頸部の細胞が、これらのウイルスによってがんに進行することが確認されました。
このウイルスは非常に一般的なもので、女性の約80%は、生涯に一度はこのウイルスに感染するとされています。多くは自然消滅するものですが、何度でも感染しやすいものです。性体験のある思春期や若い女性に広がっており、約50%に感染が見られると言われます。このうちがんに進行するのは約1000分の1でごく一部です。
しかし、子宮頸がんの99%はこのウイルスが原因で起こります。がんのなかでこれほど強い因果関係をもっているのは子宮頸がんだけであり、肺がんにおけるタバコの関係と比べると50倍の強さです。現在日本では毎年約15000人の女性が子宮頸がんにかかり、3500人の尊い命が奪われています。
約30年前からこれらのウイルスに対するワクチンが研究され、子宮頸がんに対する予防が図られました。日本でも認可された子宮頸がん予防ワクチンは、これらのウイルスの感染を防ぎます。日本では、産婦人科や小児科の学会が、11歳~14歳の女児に接種することを勧めています。またこのウイルスは何度でも再感染するので、15歳~45歳の女性にも接種が勧められています。
ただしこのワクチンは、すべてのウイルスの感染を防ぐことはできません。また、既に癌化している病変を治療することもできませんので、定期的な子宮頸がん検診を受けることが必要です。ワクチン接種と子宮がん検診の両方を実施することにより、子宮頸がんの予防と早期発見が可能なのです。
このワクチンは合計3回接種の必要があり、約4万5千円と高価なのが欠点ですが、地域によっては、公費助成の対象としているところもあります。地元の自治体に確認してみてください。
最近は、接種後の疼痛などの「副作用」が問題視され、その対策を検討しており、国による積極的な接種の呼び掛けは中断されています。産婦人科や小児科の医師とご相談ください。