2015年4月
【金土日】日光角化症(老人性角化腫)
皮膚は外側から、表皮、真皮、皮下組織の3つの層から成り立っています。
日光角化症は、皮膚にできる初期のがんですが、がん細胞が長い期間、皮膚の一番外側の表皮の中に留まっている、いわゆる「表皮内がん」の一つです。別名「老人性角化腫」とも言います。
その原因は長い年月、紫外線に当たることによるものです。従って、仕事やレジャーなどで、紫外線にあたる機会の多かった60歳以上の人に多く、できる場所も、顔面や耳、あるいは手の甲や、肘から下の腕に多く発生します。
日光角化症の症状は、数ミリから2cmまでの、表面がザラザラした紅色のシミです。境界があまりはっきりせず、かさぶたや出血を伴うこともあります。また時には、盛り上がってきて、鶏のトサカのようになることもあります。痒みや痛みはほとんどありません。
日光角化症は「表皮内がん」の状態では、転移の心配はありません。しかし10%以内の確率で、次第に盛り上がってきて、「有棘(ゆうきょく)細胞がん」という、より悪性度の強いがんに進行することがあります。
普通の湿疹やシミとの区別がつきにくいため、素人判断は禁物です。少しでも気になることがあれば、皮膚科専門医を受診してください。きちんとした診断は、皮膚の一部を切り取って調べる顕徽鏡検査によります。
治療は、かつてはメスでの摘出、あるいは液体窒素による冷凍療法が一般的に行われていましたが、最近では、イミキモドという化学名の軟膏治療も行われるようになりました。これは日光角化症の場所に、週に3回軟膏をすりこみ、毎回8時間後に洗い流す方法です。1カ月の治療で済みますが、症状によっては更に1カ月続けます。
実際の治療法に関しては、できている場所と数、年齢、合併症などを考える必要がありますので、主治医とよくご相談ください。
なによりも肝心なことは、まずは日光角化症の原因である日光をできるだけ避けることです。今からでも紫外線対策をしっかり行うように、心がけてください。