2015年5月
【月曜】 小児の溶連菌感染症
溶連薗(ようれんきん)感染症は「A群溶血性連鎖球薗」という細菌による感染症です。
咳などの飛沫感染で伝染します。赤ちゃんには少なく、小学生ぐらいの子どもがかかりやすい病気ですが、大人の方でも感染します。家族内感染も多いです。
症状は、喉や扁桃腺が赤く腫れて痛くなります。高熱が出ることもありますが、全く熱が出ないこともあります。腹痛や吐き気がある場合もあります。その他、舌にイチゴのような赤いぶつぶつが出たり、皮膚に発疹が出て痒くなることもあります。手足が赤く腫れ、1週間ぐらい後に腫れたところの皮膚がむけてくることがあります。皮膚に感染した場合は「とびひ」になることもあります。
重要な合併症として、心臓弁膜症などを起すことがある「リウマチ熱」や、顔や手足がむくんでくる「急性糸球体腎炎」などがあります。
診断は、喉を綿棒で拭って菌を検出する迅速キットで簡単にできます。迅速キットはほとんどの小児科医院に常備しています。
治療は、ペニシリン系かセフェム系の抗生物質を1週間から10日間飲みます。症状がよくなっても、必ず最後まできちんと飲むことが大切です。
実は、溶連菌感染症は全く治療しなくても、発熱や喉の痛みはよくなることも多いのです。ところが、自然に治ったように見えるケースの方が、腎炎などにかかってしまいやすいのです。実際に糸球体腎炎になった患者さんの病歴をみますと、2週間ぐらい前から喉が痛かったが、放っておいたらよくなったというような話がよく出ます。症状が軽かったからたいしたことはないとは限らないのです。
溶連菌感染症は学校伝染病に指定されていますので、必ず届け出て休んでください。溶連菌は抗生物質にたいへん良く反応しますので、きちんと2日も薬を飲めば菌の数は大幅に減って、他の人に伝染しなくなります。その後は登校してもよいのですが、完治させるためには1週間から10日間飲むことを忘れないようにしてください。その後、2-3週間後に尿の検査をして、異常がなければ安心できます。
予防は、ワクチンがありませんので手洗い、うがいをきちんとするぐらいです。溶連菌感染症は何度も罹ることがありますから、一度罹っているから大丈夫ということはありませんので気をつけましょう。