2015年7月
【火曜】 4月の改定で介護はどう変わったか!?②
今回は、市町村が行う「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」についてお話しします。
介護保険法の改定により、要支援者に対する介護予防訪問介護、介護予防通所介護が、2017年4月までに段階的に、市町村が行う新しい事業に移されます。
これまで国の責任で行っていた、介護予防の介護サービスを介護保険制度から外してしまって、市町村の事業に丸投げされるということです。根本的な目的は、介護費用の抑制にあります。
この事業は大まかに3つに分類されます。1つ目は現行のサービスと同等のサービス、2つ目は現行のサービスよりも緩和されたサービス、3つ目はボランティアやNPOなどの住民主体のサービスです。
2つ目の現行より緩和されたサービスでは、管理者などは配置されますが、ホームヘルパーなどの専門資格がなくても、一定の研修を受けた人であればサービスを提供できることになっています。
3つ目のボランティアが主体のサービスでは、生活援助などについて一般の市民であるボランティアが担い、市町村はボランティアへの補助のみ行うことになります。
いずれも安い労働力を担い手とする方向です。
しかし、ボランティアによるサービスで、安定した介護予防サービスが受けられるのか、利用者からも懸念の声があがっています。また厚労省の調査によれば、2015年4月から新総合事業を開始するとしている市町村は全自治体の7%程度で、多くの自治体がボランティアを確保できず移行が困難と回答しています。
生活援助などの介護予防は誰でもできる仕事と誤解されがちですが、そうではありません。掃除や調理など短時間の関わりの中で、高齢者一人ひとりの心身の状態や、暮らしぶりを見守り、心身機能の低下などがあれば、それに応じたケアも行っていくのが介護予防です。みそ汁の味付けや部屋のちらかり具合など、ちょっとした変化に気づき、専門職として認知症や体調の変化のサインをつかむことも珍しくありません。
介護予防を介護保険サービスから外し、ボランティアなどの専門職以外のサービスに移せば、こうした変化が見逃され、介護度が重くなる高齢者が増える危険性が高まります。
介護予防を含むすべての介護事業について、国が責任を持って実施するよう介護事業者とともに声をあげていきましょう。
来月は「介護保険3施設とは」のテーマで、老後の施設についてお話します。