2015年7月
【月曜】 娘に子どもができなかったら
不妊は、今や誰もが認める社会問題です。以前は10組に1組の不妊が、今日では7組に1組のカップルに不妊が認められます。
今回は、娘さんが「子どもが欲しい」と考えている場合をお話します。
「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。特に病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活(セックス)を営むと一定期間内に大多数の方が妊娠します。しかし一定期間を過ぎても妊娠しない場合を「不妊症」といいます。
では、その期間はどれくらいでしょうか?年齢によって異なっているのです。
一般に、年齢が高い夫婦では妊娠できる期間が短く、不妊率が高くなります。日本産科婦人科学会では、その期間を2年としています。一方、WHOではその期間を1年として、女性の年齢が35歳以上の場合には6カ月としています。
結婚年齢が高くなった今日の日本では、子どもを望んでも1年以上妊娠しない場合に不妊症と診断し、年齢が高い場合にはより早期に検査と治療を開始したほうがよいでしょう。排卵があるかどうかは基礎体温や血中ホルモンで診断できます。先ず、気軽にできる基礎体温を2か月記録して、不妊外来を受診してください。
不妊の原因ですが、女性側の原因には排卵の障害、卵管狭窄、子宮の異常、頸管分泌の異常、精子に対する免疫異常等があります。男性側の原因には性機能障害、即ち、ED,勃起不全です。次に、精子の数の異常や活動の異常があります。
不妊専門外来では先ず、排卵があるかどうかを診断します。次に、子宮、卵管、頸管に異常があるか検査してくれます。また同時に、男性側の精子の精査もするでしょう。
では、不妊症の治療にはどのようなものがあるでしょうか?先ず、原因に応じた治療がなされます。治療には保険適用のものから、自費のものまであります。排卵誘発法、人工授精、そして、体外受精があり、これらを順番にステップアップしておこなわれます。
結婚の晩婚化、ダイオキシンやストレス社会による男性精子の減少等の問題もあり、6カ月を目安にしてできるだけ早期に不妊専門外来の受診をおすすめいたします。