2015年8月
【木曜】 オシッコの色やにおいと病気
オシッコをしていると、色やにおいなどが気になって「何かの病気にかかったかな」と心配になったことはありませんか?
まずは、色についてお話します。
尿は腎臓で血液が濾過されて、身体の中の不要な老廃物を捨てるために作られたものです。正常な尿は薄い黄色をしています。水分を摂りすぎると薄くて透明になったり、夏の時期や激しい運動の後は濃くなって茶褐色に見えたり、薬や食べ物で尿に色がつく場合は、どれも正常の範囲です。
明らかな赤やピンク色の場合は「血尿」の疑いがあります。腎臓でオシッコが作られてから身体の外に出てくるまでのどこかに、がん等の重大な病気がないかどうか検査する必要があります。
激しい運動後に、コーラ色や赤ワイン色に見える時は、筋肉がつぶれてミオグロビンという物質が尿に出てくるためです。
黄褐色に見える時は、肝臓などに病気の場合があります。肝臓で作られるビリルビンやウロビリノーゲンという物質が尿に混ざっているためです。ビリルビンは正常ならば胆汁となって腸から外に出されます。肝臓や胆管に異常があると血液のほうに漏れて、尿に出てくるためです。
白く濁っている時は、細菌感染で膀胱炎になっている場合や、気温の変化や、尿の酸性アルカリ性の変化で、尿の中に溶けなかった結晶成分がそのまま出ている場合もあります。牛乳のように見える時は、乳糜尿(にゅうびにょう)という稀な病気のこともあります。
次は、においについてお話します。
尿のにおいは、香りやにおいの強い食べ物を摂った後や、オシッコが濃くなるとアンモニアのにおいが強くなります。
尿に細菌感染が起こると、尿素をアンモニアに変えるウレアーゼという酵素がさらにアンモニアを増やして、尿はアルカリ性に傾きます。そして細菌がアルカリでますます増殖するという悪循環になって、アンモニア臭は強くなります。
糖尿病では甘い香りがしたりすることもあります。尿が泡立つ場合は、尿にタンパク質が多く含まれていることがありますから、腎臓病の検査が必要でしょう。
心配な時はかかりつけの医師に相談して、必要があれば泌尿器科の専門医を受診してください。