兵庫県保険医協会

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2015年8月

【火曜】 介護保険3施設―特養、老健、介護療養―

 介護保険の認定を受けた高齢者が入所できる施設には、「介護保険3施設」と呼ばれる特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設があります。略称はそれぞれ、特養、老健、介護療養と呼ばれます。

 こうした施設は、ケアマネージャーが作る介護プランによって入所します。介護が必要な方と介護に従事するスタッフが一箇所に集まるので、設備も人員も介護のノウハウが整っています。

 しかし、入所できる施設が全国的にまだまだ足りない状況です。とくに特養の待機者は全国で約35万人と言われています。また介護スタッフの働く条件が厳しく、若く熱意を持った人も働き続けにくいことが多くの統計で明らかです。

 2015年の介護報酬改定で、施設職員の処遇を改善できる仕組みが世論に押されて導入されましたが、施設の収支が改善につながるかどうかは問題が多くあります。

 第1の特養は、原則的に要介護3・4・5と認定された人だけに入所が制限されました。介護関係職の資格者の配置要件が厳しくなるとともに、介護度や認知症が重い人や、医療行為の必要な人を多く受け入れるなどが条件になっています。公定の料金の仕組みである介護報酬の基本単位がマイナスとされる中で、この加算を算定する要件のために、スタッフの確保や、すでに入所している方の見直しが迫られています。

 第2の老健は、「在宅復帰支援機能」や「サービス提供体制強化」などの加算の仕組みが始まります。入所している人の生活機能の改善を数値目標にして、計画・実施を細かく策定しなければ、施設の収支が悪化しかねません。

 第3の介護療養は、2017年の年度末まで廃止が延期されている施設です。看護師の配置は少ないのが特徴ですが、ある統計では、栄養を管から入れている人の割合が41%以上と、病状の重い人が多く入所しています。また、喉に詰まった喀痰を頻繁に吸引する必要がある人や、インスリン注射を続ける必要のある人などを受け入れないと、施設の経営に大きく響くと言われています。

 以上の3施設以外に、介護度に関わらない種類の建物がありますが、病院のベッド削減や施設の不足から、待機者が多い状態が続いています。在宅での生活でも「老老介護」「貧困ビジネス」など、制度や法律の谷間で、困難な生活に追いやられている高齢者が少なくありません。

 介護崩壊と呼ばれる高齢者対策の困難をなくして、国庫の負担を拡大して制度改善するよう、介護事業者とともに声をあげていきましょう。

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