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健康情報テレホンサービス

2015年9月

【木曜】 早期前立腺がんの放射線治療

 前立腺がんは、その進行度や組織の様子、腫瘍マーカー検査(PSA値)などで、治療方針や予後は大きく変わってきます。今回は、早期の前立腺がんの放射線治療についてお話します。

 また、放射線治療の方法には、体の外から当てる「外部照射」と、針を前立腺に刺して照射する「組織内照射」の二つがあります。今回は「外部照射」についてお話します。

 わが国では、早期前立腺がんの治療法として放射線治療が選択される割合はまだ少ないのですが、欧米では手術とほぼ同等の成績とされています。実際、放射線治療単独で治癒が十分見込めます。最近は早期前立腺がんの患者さんが増えており、根本的に治す治療法の1つとして、放射線治療を選ばれる場合が今後増加すると考えられます。

 放射線治療の特徴は、治療後の生活の質、つまりQOLを高く維持できることです。

 手術の場合は男性機能障害や、尿失禁がしばしば起こることがありますが、放射線治療では、これらの頻度は低くなっています。また、放射線治療の合併症として、直腸炎や膀胱炎が起こることもありますが、総じて放射線治療は、治療後のQOLも高く保つことが可能です。

 放射線を体外から照射する「外部照射」は、1回の治療時間が十数分です。麻酔は必要なく、横になっているだけで治療は終了します。痛みや熱さなど感じることはありません。通院による治療も可能です。

 コンピュータや機器の進歩によって、「強度変調放射線治療(IMRT)」や「画像誘導放射線治療(IGRT)」などの、新しい照射技術や機器が開発されています。前立腺への効果を最大にして、前立腺以外への照射を最小にするための方法です。いずれも保険適応で治療できます。

 以上のように、早期前立腺がんの治療は、手術療法も放射線治療も、治療成績はほぼ同等ですから、主治医の先生と納得いくまで話合いをされて、合併症や治療期間のこと、入院の有無、医療費などを考慮して、選択されることをおすすめします。

 なお、早期前立腺がんの進行は遅いので、高齢の方や合併症がある場合には、積極的に治療せずに経過観察することや、ホルモン単独治療を行うという選択枝もあります。

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