2015年12月
【年末年始】高齢者の入浴中突然死症候群
寒い季節になると血圧が急に上がって予期しないことが起こります。
あまり知られていませんが、入浴中の突然死は交通事故死より多いと言われ、死亡原因のなかの比率が高いと言われています。
入浴中突然死は、1年の中では12月から2月までの間が多く、全体の約半数を占めています。年齢は、男性では60歳以上、女性では70歳以上が約8割を占めています。寒い冬の入浴中の突然死の原因は、入浴時に血管が開いて、手足や体にまわる血液が増えたために、頭に流れる血液の量が少なくなって失神を起こすと考えられます。また脱衣場と浴室との温度差、洗い場と湯船との温度差が大きいことも大きな原因と考えられます。
この温度差の大きさが、血管や心臓に大きく影響を与えるため、急激に血管が縮んだり開いたりして、血圧はジェットコースターのように変化します。心臓病や高血圧の方は、この危険率がさらに高くなります。自分では健康だと思っている人でも、必ず日頃から血圧や心臓についての健康診断を受けて、体の様子を調べておくことが必要です。
高齢の方は、「一番風呂」や「42度以上の熱いお湯」、そして「20分以上の長湯」を避けましよう。肩まで浸かる日本式入浴法も突然死を起こす一つの原因と言われていますので、胸のあたりまでで辛抱しましょう。高齢者の入浴時間がいつもより長いと思われた場合には、必ず家族や周囲の人が本人に声をかけましょう。これは、入浴時の突然死を防ぐために、最低限必要です。
浴室のリフォームで自治体の補助を利用する際には、緊急時の通報装置をあわせて取り付けるのもよいでしょう。
もし不幸にも家の人が入浴中に意識を失っていれば、救急車を呼んで治療を受ける必要があります。洗い場で気を失っている時や、息が止まっている時には、まず首を横にして、楽に呼吸ができるようにします。
心臓が止まっている時は、心臓マッサージをします。そして救急車の来るのを待ちましょう。心臓マッサージの詳しい方法は、医療機関や消防署等で配布しているマニュアルを参照してください。
日頃から、高齢の方が「どうも何時もと状態が違う」と感じられたら、入浴時には特に注意しましょう。