2016年1月
【木曜】 繰り返す女性の膀胱炎
「膀胱炎は、一度罹ってしまうと今後も繰り返すのではありませんか?」とおっしゃる方がおられます。
まず膀胱炎とは、細菌が尿道から膀胱の中に入ることで起こった感染症です。女性は尿道と膣とが近いため、男性よりなりやすいと考えられています。膀胱炎になると、おしっこをする時に痛くなったり、近くなったり、濁ったり、残尿感があったりという症状を引き起こします。
治療は、基本的には抗生物質を数日間飲めば治ります。ただ中には、何回も繰り返してしまう方もおられます。よくあるのが再度通院する予定があったにもかかわらず、「もう治った」と自己判断して医療機関を受診せずに、実は完全には治っていないという場合です。必ず治ったかどうか病院で確認するようにしましょう。
もちろん、毎回治っているのに繰り返す方もおられます。性的に活発な時期の女性と、閉経後の女性に多い傾向があります。
特に閉経後の女性の場合は、「萎縮性膣炎」といって膣の中で感染を起こしやすく、そこから尿道を通って膀胱炎になると考えられています。膣炎を起こす原因は、閉経によって女性ホルモンが減ることで膣の潤滑が悪くなることによると言われています。閉経後の女性で膀胱炎を繰り返す場合は、再発予防のために膣の中にホルモン剤を入れる治療もありますので、一度医療機関で相談されるとよいでしょう。
また膀胱炎を繰り返す方の中には、背景に膀胱炎以外の膀胱の病気が隠れていることもあります。膀胱に結石がある場合や、「神経因性膀胱」といって毎回おしっこを出し切れずに膀胱内に残ってしまう場合や、膀胱がんなどの腫瘍がある場合があります。膀胱炎を繰り返す場合は、必ず泌尿器科を受診して、背景にある膀胱の状態を診てもらう必要があります。
最後に、膀胱炎を繰り返す方の中に、そもそも細菌による感染ではないこともあります。「間質性膀胱炎」といって膀胱が過敏になっている場合や、過去に放射線治療を受けた影響で膀胱がただれている場合や、神経性の場合などがあります。
以上のように、膀胱炎の症状があったとしても様々な原因が潜んでいることがありますので、泌尿器科を受診することをおすすめします。