2016年2月
【金土日】全身に効く貼り薬
この30年ほどの間に、体の一部に貼るだけで全身に効く貼り薬の開発が進んでいます。
貼り薬というと、肩こりや腰痛の時に、ドラッグストア等で購入できるシップ薬を想像しますね。しかしかかりつけの医師から、たとえば、心臓病に使うテープ剤、喘息のお子さんの発作予防のテープ剤等を処方されたり、禁煙補助薬のニコチンテープ剤を薬局で購入したりして、貼り薬を使う機会が増えていることに気づかれるでしょう。
がんの激しい痛みを緩和する医療用麻薬、アルツハイマー型認知症の治療用テープ、女性ホルモン製剤やパーキンソン病治療薬、頻尿治療に用いる過活動膀胱治療薬、高血圧の治療薬にも貼り薬が登場しました。がんや認知症の患者さんでは飲みこむことが困難になることが多いので、貼り薬はとても便利です。
これらの全身に効く貼り薬は、貼った場所だけに効くシップ薬とは違って、皮膚から薬剤を吸収させて血液の中に入って全身を巡って効果をあらわします。
飲み薬との違いは、貼り続けている間は効果が安定して持続するという特徴があります。たとえばパーキンソン病の場合に、飲み薬の効果が切れても貼り薬は体が動かなくなる症状を抑えることができるのが特徴です。
効果の持続が現れる血液の中の濃度になるためには一定の時間がかかります。「貼ってもすぐに効かない」からと、医師や薬剤師に指示された以上の枚数を使うのはたいへん危険です。また、貼る場所や貼り方も指示された方法を正しく守って使いましょう。かゆみやかぶれといった副作用にも対処方法がありますので、医師や薬剤師に相談してください。
高齢化が進むに伴って、さまざまな病気に用いる貼り薬の研究開発はさらに進められていますから、期待してください。