兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2016年2月

【月曜】 自然分娩と帝王切開

 分娩とは、胎児と胎盤やへその緒が母体の外に完全に出されることです。

 正常分娩とは、妊娠37週の初めから41週の終わりまでの期間に、自然に陣痛が起こり、成熟した胎児が膣を経由して頭から出て、母子ともに障害や合併症がなく、経過が良好であった分娩を言います。さらに、分娩中に大きな手術を行うことなく、分娩の所要時間がはじめての出産の場合では30時間未満、2回目以降の出産の場合では15時間未満であったものを言います。

 膣から胎児が出てくる分娩を「(けい)(ちつ)分娩」と言います。しかし、母体の骨盤が小さい場合(「(きょう)骨盤(こつばん)」)、胎児が大きすぎる場合(「巨大児」)、お尻から先に産まれる逆児(さかご)の場合(「胎児位置異常」)、胎児が複数存在する双子や三つ子等の場合(「多胎妊娠」)、胎盤の位置異常がある場合(「前置(ぜんち)胎盤」)、母体に経膣分娩が出来ないような疾病があった場合などは、陣痛が起こる前に帝王切開手術が選択されます。

 また分娩中に、胎児や母体に異常が生じたときは緊急帝王切開を行い、母と子の2つの命を救わなければなりません。妊婦さんと産婦人医師の素早い決断と、可能な限り短時間の手術準備が要求されます。

 緊急帝王切開となる主な原因は、分娩中に胎児の心拍が急に悪化する「胎児機能不全」が最も多いです。また、赤ちゃんがなかなか出てこない場合(「遷延(せんえん)分娩」)、赤ちゃんの大きさとお母さんの骨盤の大きさが合わない場合(「児頭(じとう)骨盤不均衡」)、胎盤が胎児より先に出てきて母子ともに危険にさらされる場合(「(じょう)()胎盤早期剥離(はくり)」)、血圧上昇に伴うけいれん等によって母体に急激な変化があった場合などがあります。

 帝王切開は、麻酔をかけてお腹を切開し、さらに子宮に切開を加えて胎児を取り出す方法です。胎児への影響は、経膣分娩に比べて無視できるほど小さなものですが、母体にとっては開腹手術ですから、術後の合併症を考えれば多少のリスクはあります。特に最近は、帝王切開した妊婦さんの次の分娩は、多くが再び帝王切開になることや、経膣分娩に比べて致命傷にもなりかねない血栓症の率が大幅に高くなる可能性があります。晩婚化による高齢(こうれい)初産(ういざん)の増加や少子化現象の中で、帝王切開の比率は全分娩の15%程度にまで上昇しています。

  最後に、自然分娩の入院は病気でないので自費治療となりますが、帝王切開の入院は病気が基にあるので保険適応となります。

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