2016年3月
【火曜】 鍼灸の効能
鍼灸は「しんきゅう」とも呼ばれます。
この治療になじみのない方は、鍼と聞くと、縫い針が刺さるようなイメージをもって怖いと思われるかもしれません。しかし実際に治療で使われる鍼はごく細く、刺すときの痛みも全く感じないことが多いものです。痛みではなく、鍼を打つと「ヒビキ」とよばれる独特の感覚があり、これが気持ちよいとおっしゃる方も多いのです。
鍼灸治療のルーツは、中国4000年の歴史にあります。日本には遣隋使・遣唐使の時代に入ってきてから、日本人の体質に合うように改良されて今日に至ります。鍼も灸も、身体にあるツボ(経穴)を刺激することによって、身体がもっている自然治癒力を促し、病気を治したり体調を整えます。
灸は、昔はなぜ効くのか分からなかったので、熱く大きな「モグサ」をすえていましたが、ツボさえきちんとおさえれば60℃でちゃんと効果があることが分かってきてから、やけどをさせない温めるだけの温灸が発達してきました。
最近では、貼り付けるだけの鍼や、様々な種類の温灸も市販され、家庭で手軽に使えるものもあります。これらのものを活用して、病気にならない健康な身体をつくることを心掛けたいものです。これを東洋医学では「未病を治す」といいます。
肩が凝ったといってお医者さんに行く人はあまりいません。でも、病名はつかないけれど不調である場合、なんとか元気になりたいですよね。そんな症状には鍼灸治療の出番かもしれません。
鍼灸治療のコツを述べますと、痛みやきついコリには鍼中心、慢性病や冷え症、免疫低下には温灸がよいのです。また、ツボをきちんとおさえるということが治療効果に大きく影響します。
100%使い捨ての鍼が行き渡り、便利な温灸が普及してきたので、鍼灸治療は旧くて新しい医療技術として見直されています。
逆に、鍼灸治療よりも、すぐに西洋医学の医療機関を受診するべき病気もあります。癌や腫瘍、救急疾患やウイルス・細菌による感染などの疾病です。判断に迷ったらまずかかりつけの医師に相談してください。