2016年7月
【水曜】 海外から持ち込まれる感染症
夏休みの旅行計画を立てておられる方も多いのではないでしょうか。今年はリオ・オリンピックを間近に控え、南米大陸への旅行者も増えることが予想されていますが、旅行の準備のときにパスポートと同じぐらい忘れてはならないのが、渡航先に応じた感染症対策です。
オリンピックの舞台であるブラジルで流行し話題になっているジカ熱をはじめ、アフリカで流行した致死率が高いエボラ出血熱、少し前に話題になったSARDS(サーズ)、毎年話題になる鳥インフルエンザなど、地域や時期に応じた感染症対策が必要です。海外から日本国内に感染症が持ち込まれて大流行すると、社会全体を大混乱に巻き込むことになってしまいます。渡航先別の注意すべき感染症や、予防接種が必要かどうかについては、旅行社や厚生労働省検疫局のホームページなどで確認してみましょう。特に海外勤務や留学で現地に長期滞在する場合には、予防接種が義務づけられているものも数多くあります。予防接種の種類によっては接種までに時間がかかることもありますので、情報を確認し、時間に余裕をもって準備されることをお勧めします。
海外では、日本のように衛生状態がよくないことが多いので、水や食事だけでなく、蚊や野生動物からの感染にも注意が必要です。ジカ熱のような蚊による感染症を防ぐには、虫除けの薬だけでなく、肌を出さない工夫も大切です。アフリカでは、エボラ出血熱が終熄に向かっている一方で、ラッサ熱の報告が相次いでいます。中国や東南アジアではデング熱、鳥インフルエンザなどの情報にも注意しましょう。また海外でブームのタトゥー(入れ墨)やボディーピアスも、AIDSやウイルス性肝炎発症の原因となりますので、極力避けるようにしましょう。
海外での感染を防ぐには、手洗いと飲食への注意、虫除け対策、動物に近寄らないこと、咳やくしゃみでうつる病気がはやっているときは人混みに近寄らないことなどを徹底しましょう。予防接種も普通の医療機関では実施していないことが多いので、検疫所や保健所へ問い合わせをするか、トラベルクリニック、旅行外来や渡航外来を設置している医療機関などに確認されてから受診されることをお勧めします。
では、感染症への準備を早めに十分に整えて、海外旅行をお楽しみ下さい。