2016年8月
【水曜】 シェーグレン症候群~涙や唾液が出ない病気
夏季休業のため15日(月)~17(水)は金土日曜日のテーマを放送します。
「シェーグレン症候群」とは、涙や唾液の分泌が減少することにより目や口の中が乾燥することから不愉快な症状が出る疾患です。1933年にスウェーデンの眼科医、ヘンリック・シェーグレンが、全身的な疾患の一部の症状として出現すると発表したことから、シェーグレン症候群の名前がつけられました。我が国では約10万人から30万人の患者がいると推定されています。
眼の場合は、コロコロしたり充血したりしますが、これは充分な涙が分泌されないために乾燥性結膜炎が起こることによります。また涙の量が少ないことから日光を非常に眩しく感じます。
また唾液の分泌が少ないため、水やお茶なしでパンやビスケットを食べることが苦痛になったり、途中で水を含まないと会話が続けられなかったりします。夜間に口の中がカラカラに渇いたり、虫歯が急に増えたりすることもあります。
検査では、涙の分泌量を測定する検査と唾液の分泌量を測定する検査があります。血液検査では、唾液腺の異常を示す血清アミラーゼ値の上昇とシェーグレン症候群に特徴的な自己抗体の出現が見られ、診断時に有力な手掛かりになります。
シェーグレン症候群は、今のところ原因不明の疾患です。多くの場合は徐々に進行しますが、直接的に生命が危うくなることはありません。しかし一部のケースでは肺や腎臓が侵され、まれにはリンパ球増殖症を合併することもあります。またシェーグレン症候群は関節リウマチなどの膠原病の合併症として起こっていることもありますので、リウマチ科や眼科の専門医を受診し、確かな診断と治療を受けることが必要です。この病気は自己免疫疾患として厚生労働省の指定難病で医療助成制度があります。
治療は、点眼薬や唾液の分泌を高める内服薬などがありますが、運動をする習慣を続ける、毎日ゆっくり入浴する、食事の内容を改善するなど、生活習慣を改め全般的に体調を向上させることも有効です。特に睡眠時間が6時間未満と短いことはこの病気に限らず多くの難病の発症要因になりますし、不眠症で睡眠薬を常用している人、いびきをかく人、睡眠中に息が止まることを指摘されたことがある人は睡眠の質が悪い事が考えられますので睡眠検査を受けることが必要です。