兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2016年8月

【火曜】 風邪と漢方薬

夏季休業のため15日(月)~17(水)は金土日曜日のテーマを放送します。

 風邪症候群とは漢方的には、発熱やさむけ、倦怠感、頭痛、関節の痛みなどの全身症状と、鼻みず鼻詰まり、のどの痛み、咳、しわがれ声などの呼吸器症状を伴う外気から影響を受けて生じる病の初期段階を総称したものです。

 風邪は大きく「傷寒系」と「温病系」などに大別されます。

 前者の「傷寒系」は更に大まかに「太陽中風」と「太陽傷寒」の二つに別けられます。自らジワッと汗をかいている軽い症状を呈する場合を「太陽中風」と言い桂枝湯などを用います。また、汗をかかずに発熱するインフルエンザのようなものを「太陽傷寒」と言い、麻黄湯や葛根湯などが用いられます。

 漢方では、食物を取り入れ胃で作られた陽気エネルギーを肺の力により常時発散しているために、体表は「陽気」で包まれ、温かく保たれて防衛していると考えられています。しかし、何らかの原因により体調が崩れた時、この防衛力は低下します。このような時、身体が冷たい外気に触れると冷えは身体に侵入しようとします。そうすると身体は迷惑な冷えを体内へ侵入させまいとし、身体の表面でその冷えとの戦いを繰り広げます。その結果、発熱したり、さむけを強く感じたりします。

 次に、後者の「温病系」ですが、エアコンなどの暖房器具により、部屋の空気は乾燥傾向にあります。この乾燥した空気は口や鼻から入りのどや気管支を直接攻撃するために身体の外側よりものどや気管支に強い症状が現れます。これを温病(うんびょう)といいます。「初期にさむけはあっても僅かで、背中や全身がゾクゾクすることはなく、のど痛、咳、痰などの呼吸器症状が強いのが特徴です。銀翹散(ぎんぎょうさん)や桔梗石膏湯(ききょうせっこうとう)などが用いられます。

 さて、このように風邪はタイプによって用いる処方が異なり、また、侵入した冷えや熱は侵入した部位に留まらずに移動する為に症状が刻々と変化しますから、処方も症状に合わせて対応させなくてはなりません。風邪に罹られましたら、出来るだけ早くお近くの漢方薬を処方するかかりつけ医を受診されることをお勧めします。

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