2016年8月
【月曜】 女性の外陰部のかゆみと治療
夏季休業のため15日(月)~17(水)は金土日曜日のテーマを放送します。
外陰部のかゆみは、いろいろな原因で起こりますが、原因が明らかな場合とそうでない場合があります。原因が明らかな場合は、外陰部の感染によるものと全身の病気によるものがあります。
外陰部の感染による病気の中で多いのは、「外陰・膣カンジダ症」と「トリコモナス膣炎」です。その他にブドウ球菌、大腸菌などによるもの、ウイルス感染症などがあります。
外陰・膣カンジダ症はよくみられます。症状は、酒粕のようなおりものが多くみられ、強いかゆみを伴います。免疫力の低下などいろいろな原因によって起こります。そのうちセックスによる感染の治療は、セックスによりパートナーとの間で繰り返す、いわゆるピンポン感染を防ぐために、二人で治療することが大切です。
トリコモナス膣炎は、症状として、泡状のおりものが多くなります。この疾患も主にセックスによって感染するので、パートナーと二人で治療することが重要です。
感染症以外では、全身の病気として、糖尿病、肝疾患、腎疾患、ビタミン欠乏症などがあります。悪性腫瘍のひとつの症状でもありますので注意が必要です。また、精神的なストレスや心因性による例と、自律神経失調症による例もあります。この場合は、ストレスを減らすことで治すことが可能です。
閉経後、卵巣から分泌されるホルモンが減少して、外陰や膣壁の粘膜や皮膚が乾燥しやすくなることからかゆみを起こすことがあります。また、月経のときに、ナプキンにかぶれることもあります。かぶれが治る頃に翌月の月経があるため、またかぶれるといった悪循環で、良くならないこともあります。ナプキンやおりものシートを別のものに変えたり、下着を洗濯する時に柔軟仕上げ剤の使用をやめるだけでも、かぶれが治ることもあります。
外陰部のかゆみに対する治療は、原因や症状に応じた飲み薬や塗り薬などが用いられます。市販の塗り薬で症状の改善が見られない時は、自己判断は禁物です。早目に専門医を受診するようにしましょう。