2016年10月
【木曜】 胃の病気は口臭に関係あるのか?
口臭とは、口の中に生じる不快な臭いのことです。その原因は「生理的口臭」と「病的口臭」に分かれます。生理的口臭は、起床時や空腹時等に一時的に生じる口臭で、唾液の分泌が減少するために発生するといわれています。
今回は病的口臭についてお話します。
病的口臭は、その原因から、口の中である場合と、肺から出てくる息が口を通って発生する場合とがあります。
ところで、口臭の原因で最も多いのはどちらでしょうか。答えは口の中が原因である場合です。つまり口の中や舌に残った食べカス、歯周病等が原因で不快な臭いを発生します。これらは口の中の清掃不良が原因ですから、適切なブラッシングや歯科での治療で改善が期待できます。
肺から出てくる息が原因のものはどのようなものがあるでしょうか。いろいろな全身疾患が原因になるといわれています。
具体的には、糖尿病が悪化した状態(糖尿病性ケトアシドーシス)」になると、「アセトン臭」と呼ばれる甘酸っぱい息が生じます。また、肝硬変の末期状態である「肝不全」という状態になると、独特の臭いが発生することがあります。他にも、肺に膿のたまる「肺膿瘍」や、腎臓の末期状態である「腎不全」等も臭いの原因となります。
いずれも、病気がかなり進んで生じるものですから、日常生活を普通に送っている人に起こるものではありません。
今回のテーマである、胃潰瘍等の胃の病気で口臭が発生することがあるのでしょうか。非常に稀なケースではありますが、進行した胃がんが原因で食物の通過が困難となり、内視鏡検査時に腐敗臭を感じることがあります。しかしそれは、内視鏡検査時に内視鏡を介して感じるものであり、日常生活で気づくものではありません。人には食道と胃の境目に逆流防止機能(括約部)があり、臭いが口から出てくることはないからです。
したがって、胃潰瘍等の胃の病気が原因で口臭が発生することはないと考えられていますが、気になる方はかかりつけ医か歯科医にご相談ください。