2016年10月
【水曜】 甲状腺機能亢進症
甲状腺は、のどぼとけの下にあり、甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは、血液中を流れ、心臓や腸、脳や筋肉など、全身の臓器や器官にはたらき、からだの中のさまざまなエネルギー代謝の調節を行っています。
甲状腺ホルモンが多く出過ぎる状態を、「甲状腺機能亢進症」と言います。おもな症状としては、動悸や手のふるえ、汗の量が多くなるといった症状です。また、疲れやすくなったり、やせてきたり、精神的にイライラして、怒りっぽくなったりすることもあります。
「甲状腺機能亢進症」の中で最も多い病気は、「バセドウ病」です。女性に多い病気ですが、男性に発症することもあります。また、こどもやお年寄りにもみられる場合もあります。「バセドウ病」は、甲状腺が腫れたり、眼が出てきたりするといった症状が有名ですが、これらの症状がない場合も多く、注意が必要です。
「バセドウ病」以外にも、「甲状腺機能亢進症」となる病気があります。「亜急性甲状腺炎」や、「無痛性甲状腺炎」と呼ばれる病気です。「亜急性甲状腺炎」は、風邪のあとなどに、くびの痛みや、38℃前後の高熱が続くことが特徴です。「無痛性甲状腺炎」は、「バセドウ病」と症状は同じですが、2-3カ月程度で自然に良くなります。ただし、もともと甲状腺機能低下症の1つである橋本病を持った人に起きることが多く、症状が改善しても定期的な検査が必要な場合があります。
妊娠や出産後にも、「甲状腺機能亢進症」と同じように、甲状腺ホルモンが一時的に増加することがあります。軽度の場合には、問題ありませんが、流産しやすくなったり、バセドウ病を発症している可能性もあるため、症状が続く場合には、甲状腺の検査をしておくほうが良いでしょう。
「甲状腺機能亢進症」は、血液検査によって診断することができ、内服治療により、症状も改善します。通常の健康診断などでは、甲状腺ホルモンの測定が出来ないことが多く、病気が見つからない場合もあります。症状がみられる場合には、かかりつけの内科や、甲状腺専門医のいる医療機関へ受診することをお勧めします。