兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2016年11月

【金土日】 高齢者の睡眠障害 その対策

 多くの人が夜眠れない、寝付いても夜中に起きてしまってそのまま朝を迎えた、といった経験をお持ちでしょう。生まれてこの方不眠を経験したことが全くない、という幸せな人は稀ではないかと思います。不眠症の原因は色々あるでしょうが、眠れない日が長く続くようですと、どうしても少量の睡眠薬は必要となることが多いと思います。高齢者の場合、若い人と比べて睡眠後半において浅い眠りとなりやすく、何度も目覚めてしまうことがよくあります。ですから唾眠後半にトイレに立つ時に睡眠薬を飲んでいるとクスリの作用で歩行時にふらつきや転倒が起こりやすくなります。

 では高齢者の不眠症にはどう対処すれば良いのでしょうか。睡眠薬を使うのは最後の選択です。まず日常生活の安定が大切です。具体的には、朝起床後に出来るだけ太陽の光を浴びることです。屋外の散歩を30分位出来ればさらに良いでしょう。適度に体を動かし、規則正しい食生活を送り、夜に日本茶、コーヒー、紅茶などカフェインの入った飲み物は避けることが大切です。また、寝る前のタバコもニコチンに精神刺激作用があるので止めましょう。よくあることですが寝酒を一杯という高齢者の方もおられるでしょう。お酒は一時的には寝つきが良くなりますが、慣れが生じやすく寝るために飲んでいると、どんどん量が増えてしまいます。一般にアルコールは眠りを浅くするので唾眠薬代わりに使うのは止めてください。

 でも高齢者でどうしても睡眠薬が必要なときもあります。こんな時は従来の睡眠薬は避けたほうが無難です。前にも述べたようにふらつきや転倒が起こりやすいからです。現在は作用時間の短い睡眠薬が勧められています。しかしこの薬でもふらつくことや、翌朝のボーッとした状態となることがあるので、長く続けないことが大切です。現在これまでとは働きの違う薬が注目されています。これは我々人間の脳から分泌されるメラトニンというホルモンに関係しています。夜暗くなってメラトニンが多く分泌されるのですが、この薬はメラトニンの働きを増強させることによって、眠りやすくするクスリです。ふらつきや転倒の危険性は少なく、高齢者にとって適した睡眠薬です。睡眠障害で悩んでおられる高齢者の方はかかりつけの先生に一度ご相談ください。

 

 

 

 

          

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