2016年11月
【火曜】 インフルエンザの薬
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症です。流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。
A型又はB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38度以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻水などの上気道炎症状がこれに続きます。約1週間の経過で軽快するのが典型的な型で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いです。
従来は、対症療法が中心でしたが、A型にもB型にも有効なインフルエンザの薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)が続々開発され、発病後2日以内に服用すれば症状を軽くし、罹病期間の短縮も期待できるとしてインフルエンザ治療の主流となりました。
インフルエンザの薬には、「点滴」や「飲み薬」、「吸入薬」があります。(商品名:シンメトレル、タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルの5種類)。各々特徴があり、年齢や症状等によって使い分けが必要です。大切な事は、ウイルスが大量に増殖する前に、医療機関を受診して、早期診断、適切な治療を行うことです。
対症療法の解熱剤、特にアスピリンには、ライ症侯群との関係が推測されており、小児への使用は原則禁忌です。また、一部の解熱剤は、小児のインフルエンザ脳症の悪化因子となりうるので解熱剤が必要な場合は、通常、アセトアミノフェンを使用します。しかし、自己判断での、解熱剤使用は絶対に避けましょう。
インフルエンザの薬は予防投与もできますが、自費診療になります。必要に応じて医師にお問い合わせ下さい。
従来のインフルエンザの薬の耐性や、副作用から、漢方薬も注目、使用されています。特に「麻黄湯」は、インフルエンザに保険適応もあります。抗インフルエンザ作用に加えて人が本来持っている免疫力を高める作用も有ります。西洋薬と同等の効果があるという報告も出ています。しかし、体質や、症状等によって使用できない人もいますので、必ず医療機関を受診して相談することが必要です。
いずれにしても、予防が基本です。ワクチンの接種や、主な感染経路である、咳、くしゃみ等による飛沫予防のための、マスク着用、嗽、手洗いの励行です。日頃からの、規則正しい生活を心掛けましょう。