2016年12月
【木曜】 血尿が出たら
血尿で来院される患者さんには、2つのタイプがあります。
ある日突然真っ赤な尿が出て非常に驚いて来院される方と、自覚症状はなく、たまたま人間ドックや定期検診で尿に潜血反応と言って、目には見えない血液の反応が出ているといわれた方です。
2つのタイプは一見全く違うように思われますが、尿の中に血液が混ざっているという点では同じです。尿の中に混じっている血液の量の差によって、目で見えるかどうか、という違いだけです。
尿の潜血反応が陽性のときで、ふだんは異常がなくても、いつ真っ赤な尿が出るかわかりません。重要なのは、血尿の程度ではなく、何が血尿の原因になっているかです。
原因には、内臓の働きの異常と形の異常があります。
内臓の働きの異常は、主として腎臓の働きの異常で、急性腎炎や慢性腎炎などのことです。腎臓の働きは、病気の初期には検査をしてもその時点では全く異常が認められないことも多く、そのままにしている方が多いのが現状です。しかし、1年~2年で変化がなくても、10年~20年と経過するにつれて悪くなり、症状がでてきたときには人工透析が必要な尿毒症になっていた例もあります。
形の異常では、腎臓ガンや膀胱ガン、前立腺ガンや尿路結石など血尿の出る病気が非常に多く、お腹のレントゲン、超音波検査、CT、MRIなどにより診断されます。その時点では、検査上、異常の見られないこともあります。
しかし、異常がなかった場合でも、定期的に検査を受けることは非常に大切です。尿を定期的に検査している方のなかに、ある日突然ガン細胞が多数みられ、検査では見つかりにくいタイプの膀胱ガンが見つかることも、少なくありません。
血尿が止まっても、一度血尿が出た人は、そのまま放置せず、早めにかかりつけ医や専門医に相談されることをお勧めします。