2016年12月
【火曜】 お酒との上手な付き合い方
お酒のアルコール濃度はビール5%、ワイン12%、清酒16%、ウイスキー40%です。アルコールは血液に溶け込んで肝臓に運ばれ、90%が肝臓にてアルデヒドとなり、更に、酢酸という化学物質になり、全身を巡るうちに水と炭酸ガスになります。残りの10%は代謝されないまま尿、汗、吐く息として、体の外に排出されます。
アルコール分解速度は個人差はありますが、体重10kgあたり1g分解されます。ビール大瓶1本なら、体重60kgの人であれば、およそ5時間となります。
酔いの程度は、脳内のアルコール濃度によって決まります。ほろ酔い気分の爽快期、気が大きくなる、立てばふらつく「酩酊期初期」、千鳥足になる、何度も同じことを言う「酩酊期」、まともに立てない、意識がはっきりしない「泥酔期」、更に「急性アルコール中毒」とアルコール血中濃度が増えるにつれ変化していきます。血中アルコール濃度は体重60kgの人がビール500mlを飲んだら、0.05%になり酒気帯び運転となります。
お酒に強いか弱いかはアセトアルデヒド脱水素酵素を持っているかどうかで決まります。日本人の約4割はこの酵素を持っていません。日本人が欧米人に比べてお酒に弱いといわれるのにはこのことが関係しています。又、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳癌の原因となるとされています。またアルコールそのものに発癌(がん)性があります。特にお酒ですぐに顔が赤くなる人は食道がんになりやすいと言われています。又、飲酒で頭痛を訴える人がいますが、これは体がアルコールを毒と認識し、早く体から排泄しようと血管を拡張させるためです。飲みすぎて、二日酔いの時は水分、コーヒー、蜆汁、ウコンなどが良いでしょう。
又、一番厄介なのはアルコール依存症です。健康問題、社会問題を抱えます。初め「飲む量のコントロールができない」「飲む時間のコントロールができない」など、様々な形で現れ、アルコール中毒になります。常に一定濃度のアルコールを体の中に維持しておくために、数時間おきに一定量のアルコールを飲み続ける状態です。多量のアルコール摂取は痛風の原因である高尿酸血症、肝硬変の原因となるアルコール性肝炎を来します。飲みすぎて、転倒し、怪我をしたり、風呂の中で寝込んだりして命を落とすこともありますが、百薬の長にもなります。