2017年2月
【金土日】 不安神経症
不安は誰でも持つ感情ですが、不安が非常に強かったり、長く続いたりすると、生活や仕事に差し支えるようになってきます。不安という言葉は、医学用語としては、状況にそぐわないほど強い恐怖を意味します。
フロイトは恐怖に満ちた感情・パニック・切迫した死の予感などを特徴とする疾患を不安神経症と名付けました。現在、これはパニック症と呼ばれています。
パニック症の症状としては動悸、発汗、震え、息苦しさ、息が詰まる感じ、胸の痛み、吐き気、腹部の不快感、めまい、ふらつき、熱感・冷感などさまざまな自律神経症状があります。パニック発作では、それらの症状のうち、4つ以上が突然に起こり、10分以内にその頂点に達すると言われています。患者さんは、このまま倒れてしまうのではないか、死んでしまうのではないかと死の恐怖を感じます。しかし、パニック発作で死ぬことはありません。発作は一時的なものであり、なんの後遺症もなく治まります。
パニック症は、誰にでもあるような心身の違和感を極端に感じてとらわれてしまった状態です。例えば、体調がすぐれない時に満員電車に乗って「気持ちが悪い、倒れたらどうしよう」などという経験はよくあることですが、「こんなこともあるものだ」と流すことができずに「深刻な病気なのではないか?...」などの考えにとらわれてしまうのです。
パニック発作を経験した人は「また発作が起こったらどうしよう」という不安を持ちます。これを「予期不安」といいます。
患者さんは、パニック発作が起こった場所や状況―たとえば電車やバス, 車, 飛行機, エレベーターなどの乗り物、 歯医者、MRI検査、理容・美容室、映画館などを避けるようになります。助けてくれる人がいない所でパニック発作が起ったらどうしよう、と恐れて、外出が困難になることがよくあります。パニック発作が生じた際に、その場所から逃げられないのを恐れたりします。これを「広場恐怖」と呼びます。行動範囲が狭くなり、通勤や買物が一人で出来なくなることもよくあります。
パニック症が長引き、こじれる前に、早めに精神科、心療内科を受診して治療を受けることが勧められます。