2017年2月
【木曜】 膵臓がんの話
膵臓がんは、発見がむずかしい病気で、比較的早期に見つかっても再発率が高く、さらに手術ができるのも20~30%程度と、非常に厄介ながんです。またがんが見つかってから5年生存している確率は、胃や大腸のがんでは約65%ですが、膵臓がんでは約10%程度で、再発・死亡の危険性が非常に高くなります。
なぜこのような結果になるのでしょうか。
膵臓は、胃の裏の奥深くにあるため特徴のある症状は全くありません。上腹部の不快感や食欲不振などは、病気がなくてもよくあることで膵臓がんの特徴的なものではなく、体重減少、腰や背中の痛み、黄疸(おうだん)などの症状は、かなり進行してから出現します。
発見が難しいのなら予防を考えたいのですが、これも決め手がありません。一般にタバコ、お酒やアルコールの飲み過ぎ、コーヒー、肉、脂肪食の摂り過ぎなどは危険とされていますが、これらも他のがんや生活習慣病の予防と同じです。ただ糖尿病がある人は、ない人に比べて膵臓がんになる確率が明らかに上昇するので、十分に注意する必要があります。
がん発見の決め手は、超音波検査やCT・MRI(エムアールアイ)・PET(ペット)などの画像診断ですが、肥満の人では超音波検査は難しく、またCT・MRI・PETは大きな病院にしかなく、診断しにくいのが現状です。
一方、血液の検査では「アミラーゼ」「リパーゼ」という項目、また「CA19(ナインティ)- 9(ナイン)」「エラスターゼ」などの腫瘍マーカー検査と呼ばれるものはかなりの手がかりになります。これらを組み合わせて検査することにより、症状のないがんを見つけ出せる可能性が非常に高くなります。
ただこれらの血液検査は、医療保険が適応されない場合があり、また一般的な健康診断の検査項目にも入っていません。
このように、症状が少なく診断しにくいがんですが、治療は手術だけでなく、効果的な抗がん剤も開発されてきています。
糖尿病で治療中の人や腹部の不快感が続く人は、胃がんなどの場合もあるので、かかりつけの医師や消化器の専門医に相談してみてください。