2017年3月
【火曜】 寝たきりの人の歯の手入れ
口の中にはたくさん細菌が生息しています。体の入り口である口の中の細菌をそのままにしておくと誤嚥性肺炎、食道炎など様々な病気を起こす危険性があります。健康な方は日中会話をしたり、口を動かす事で唾液の分泌を促し、口腔内の細菌を洗い流す浄化作用を持っています。それに対して寝たきりの方は口の動きや唾液の分泌量も少ないので、不潔になりやすく、健康な方に比べ抵抗力も低下するため、これらの細菌により大きな病気を引き起こしやすくなります。このようなことからも寝たきりの方の口腔ケアはとても重要なものと言えます。
まず、食べたら歯磨きをしましょう。起きあがれるのであれば、起きあがって座った状態で磨きましょう。起きあがるのが難しいのであれば、むせないように顔を横に向けた状態で、介護の方に磨いてもらいます。歯磨き粉はつけなくてもかまいません。汚れが残りやすい歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目にしっかり歯ブラシの毛先をあてて磨きましょう。その際、歯ぐきから血が出る場合は、出血の原因は、ほとんどが口の中の炎症です。歯と歯ぐきの境目をていねいに磨いていると、血は自然に出なくなります。
また唾液量も減少してくるため、舌の表面に汚れがたまりやすく、白色や黄色の舌苔(ぜったい)ができます。これは口臭の一因にもなります。柔らかい舌ブラシで後ろから前に一方向に磨きます。
また口の中が乾燥しやすい場合は、乾燥防止のため、保湿剤を歯ぐきや上顎などの粘膜面に塗ることも大切です。
入れ歯も自分の歯と同じです。食事の後は残っている歯を1本ずつ丁寧に磨くのと一緒に、必ずはずして柔らかい歯ブラシで洗ってください。汚れたままだと細菌のすみかになってしまい歯ぐきが腫れたり、入れ歯があわなくなったりします。
口の中を毎日清潔に保つことで、食欲も出て、生きる意欲もわき、起きあがれるようになったという話もあります。お口の中のお手入れでわからないこと、入れ歯の不具合や痛みなど、気になることがありましたら、ぜひかかりつけ医院に相談してください。往診されている歯科医院もありますので、ぜひご相談ください。