2017年5月
【月曜】増加する卵巣癌
日本では卵巣癌にかかる女性が毎年8,000人以上おられ、それによる死亡は年間4,500人です。患者数当たりの死亡率は婦人科がんの中で最も高くなっています。その理由は、初期の卵巣癌は無症状の場合がほとんどで、多くの患者さんはがんが進行した状態で診断されるためです。初期の卵巣癌の10年生存率は、8割前後と良好ですが、進行した卵巣癌の10年生存率は2割程度と極端に悪くなります。卵巣癌は早期発見が重要です。
卵巣癌の初期は、不正子宮出血や腹痛等の症状はなにもなく、多くは卵巣以外にもがん細胞が広がり、腹痛・腹部膨満感・不正子宮出血等が現れたときに発見されます。
超音波検査・CT・MRIの画像診断と腫瘍マーカー検査によって診断され、治療は手術と化学療法が主です。
卵巣癌がどのようにして発生するかは未だ不明ですが、卵巣癌は50-75歳に多く、妊娠・出産を経験しないことも危険因子です。正常分娩後、授乳期間がある場合はリスクが低下すると言われています。しかし、卵巣癌の検診システムが確立されていないため、別の症状で婦人科を受診したときに早期卵巣癌がたまたま発見されているのが現状です。
卵巣癌の集団検診は技術的に不可能なので、卵巣癌の早期発見のために成人婦人は年に1回は婦人科を受診し、子宮癌検診と同時に卵巣の超音波検査を受けるのが良いでしょう。また、不正出血・帯下の増加等の症状で婦人科を受診したときに、卵巣の状態を尋ねることも重要です。
卵巣の部分に腫瘍が発見されても、それが良性と診断されることがほとんどで、何もせずに経過観察する場合も少なくありません。しかし、将来的に腫瘍が増大して手術の必要が生じたり、悪性化したりする可能性もあるので、必ず定期的に受診し経過を見ることが重要です。女性性器癌では子宮癌だけでなく卵巣癌にも十分注意する必要があります。