2017年8月
【木曜】胆石症と診断された方へ
胆石症の治療には、手術による外科的治療と飲み薬による内科的治療があります。胆石症は、無症状のことも多いのですが、胆嚢や胆嚢へつづく管の炎症によって腹痛、黄疸、発熱、ショック症状などを起こし、黄疸や出血傾向のため外科的治療ができず重症化する場合があります。また胆石症をそのままにすると胆嚢癌の原因になることもあるため、たとえ無症状でも従来より積極的に外科的治療が行われてきました。しかし最近では腹部の超音波検査やCTなどで詳細に診ることができるようになり、緊急時の黄疸(おうだん)に対する治療技術も飛躍的に進歩したため、無症状の胆石で患者さんが手術を希望しない場合は、定期的に検査をして経過をみることがあります。
それでも胆嚢に小さな石が充満している場合や、胆嚢の壁に異常が認められる場合は積極的に外科的治療をお勧めします。外科的治療としては、お腹を切り胆嚢を摘出する手術が従来行われていましたが、条件がそろえばお腹の数カ所に麻酔をして孔(あな)をあけ、管や棒状の器具をお腹の内部に挿入して外からの操作で胆嚢を摘出する方法も可能です。この腹腔鏡(ふっくうきょう)手術という方法であれば短期間の入院ですみ、術後も楽で腹部の傷もめだちません。
胆石症の根本的な治療法は胆嚢とともに結石を取りだすことですが、外科的治療ができない場合は血液検査、腹部エコー、CTなどを使用して経過を観察しながら内科的治療を行うこともあります。この場合、胆石が石灰化を伴わないコレステロール結石であれば飲み薬によって溶ける可能性があります。
食事の注意としては、脂肪の多い食事をさけて、野菜や海草などの繊維質を多くとるようにしてください。